Report 003 米軍基地汚染地の「原状回復」はいくらかかるのか:沖縄市サッカー場汚染関係経費中間報告

 

沖縄市サッカー場を沖縄県道23号沖縄北谷線(通称国体道路)側から望む、高架は沖縄自動車道、奥は嘉手納基地と基地内の小中学校。

 

IPP Report No.3 米軍基地汚染地の「原状回復」はいくらかかるのか
沖縄市サッカー場汚染関係経費中間報告

河村 雅美(Dr. Masami Kawamura / The Informed-Public Project 代表)
2016年7月12日

IPPレポNo-3PDF版

報告の目的

 本報告は、2013年6月にドラム缶が発見され、汚染が発覚した旧嘉手納基地跡地、沖縄市サッカー場の汚染調査や浄化処理関係のこれまでの経費について報告し、その結果から、今後の行政への監視や政策検証に必要な事項について議論する材料を提供することが目的である。

 ドラム缶発見後、サッカー場の汚染は米軍基地由来のものと考えられ、沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県による調査が進められた。調査は、サッカー場全域、隣接した駐車場の調査に発展し、現在も進行中である。これまでに108本のドラム缶が発見され、複合汚染の実態が明らかになっている。

 The Informed-Public Project(IPP)では、国会議員、県議会議員、沖縄市議会議員の協力を得て、各機関の経費のデータを入手し、とりまとめた。調査や浄化作業はいまだ継続中であり、より詳細な調査が必要であるため、本レポートは暫定的な中間報告である。

この報告の意義については以下の3点がある。

1. 経費の全体像把握

 沖縄市サッカー場の汚染調査内容や汚染土壌などの処理については沖縄防衛局の発表時に報道がされてきたが、その経費に関しては、複数の行政機関が(沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県)対応していることもあり、まとまったデータが出されていなかった。本中間報告では、調査及び処理に関わる業務が継続中ではあるが、これまでの経費の全体像を明らかにすることができた。

2. 汚染発覚からの過程検証

 これまでも返還跡地における土壌汚染や汚染除去費用については国会の場や研究で、一部明らかにされてきたが[1]、調査や浄化作業の各過程でどの程度の費用がかかるか、どのような業者がどのような発注形態で業務を受注し、どこまでの業務を行うのか、といった詳細は明らかにされていなかった。本中間報告により、経費の面から汚染発覚後の過程を把握、検証することができる。そこから、行政は具体的にどのような説明責任が伴うかも明らかになった。

3. 各行政機関の政策評価

 沖縄市サッカー場の汚染発覚後、これまでの跡地調査にはない行政の動きがあった。例えば、沖縄市が調査の透明性を確保するために、国に対抗的調査をした調査体制をとったこと、また、サッカー場汚染発覚の翌年に沖縄県が国の一括交付金の3年事業で、環境政策課に基地環境特別対策室を設置したことなどである。本報告ではこの動きについても検証した。これは、今後、汚染発覚後の各行政機関の政策を検証、評価するための材料の提示となる。
 税金の用いられ方を監視する納税者としての立場から、日米地位協定のあり方を改めて検討する一つの材料として用いられることも、本報告の最終的な目的の一つであることを強調しておきたい。

 構成

報告の目的
ポイント
背景
Ⅰ 沖縄市サッカー場調査等経費について
  1.2015年3月までの支出・経費と2016年度日本政府計上予算
  2. 内訳
    ①沖縄防衛局
    ②沖縄市
    ③沖縄県
Ⅱ 沖縄県環境政策課基地特別対策室について:新規の米軍基地跡地政策として
Ⅲ 考察・提言
Ⅳ むすびに
【参考資料】

ポイント

  • 日米地位協定で米国側の原状回復の義務が問われていないために日本が負担する経費はわずか約1万4000㎡の土地で9億円以上に上る。

  • 沖縄市が実施した沖縄防衛局の対抗調査経費(クロスチェック代)は7100万円以上に上り市の財政負担となっている。あるべき調査体制の姿を示した沖縄市には、国や沖縄県の適切な支援措置が必要である。

  • 日本政府、沖縄県、沖縄市は多額の費用を伴う汚染調査や浄化に関する説明責任を認識し、意思決定過程の透明化に努め、同過程の検証が可能な体制を構築することが急務である。また、費用対効果分析についても第三者的立場から実施する必要がある。

  • 議会、市民の積極的な監視、関与が必要である。

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