沖縄本島中部の有機フッ素化合物(PFAS)汚染:米軍基地と「ごみ山」

沖縄本島中部のPFAS汚染:基地と「ごみ山」
基地以外のPFAS汚染源:「ごみ山」と呼ばれる産業廃棄物処分場

IPPの沖縄県への情報開示請求により、沖縄市池原の通称「ごみ山」と呼ばれる元倉敷環境の産業廃棄物処分場からと考えられるPFAS汚染(PFOA)が明らかになりました。
産業廃棄物処分場もPFASの汚染源の1つです。琉球新報沖縄タイムスで報道されました。

「ごみ山」とは何か。
産業廃棄物処理業・倉敷環境(現・倉敷)が、廃棄物処分場施設内で違法に高く廃棄物を積み上げていたため、その様相から「ごみ山」と呼ばれています。

歴史的経緯、汚染原因についてはまた別に記事を出したいと思います。
この処分場は米軍のごみも引き受けており、業者が不法投棄で営業許可を取り消された2017年には嘉手納基地内でごみが処理できなくなる事態にもなっていました。

この記事で伝えたいことは、嘉手納基地が由来とされるPFAS汚染(PFOSが主)と、産業廃棄処分場由来とされるPFAS汚染(PFOAが主)の場所が非常に近く、中部のこの地域に汚染が集中しているということです。 
また、米軍基地も嘉手納基地のみでなく、嘉手納弾薬庫、トリイ通信施設、キャンプ・シールズ、キャンプ・マクトリアスなど基地も密集していることもわかります。
この地域のPFAS汚染状況を、沖縄県の調査結果を重ねあわせ下記のマップにしました。

その後、沖縄タイムスのジョン・ミッチェルさんの調査報道により、元倉敷環境では、普天間基地の泡消火剤が搬入されていたことが明らかになっています。 

ただし、この図を見ると、比謝川(嘉手納基地由来と推測、PFOS>PFOA)と天願川(産業廃棄物処分場由来と推測、PFOA>PFOS)のPFAS汚染が異なっていることがわかります。必ずしも米軍基地の廃棄物のみが汚染源ではないと考えられます。
PFAS汚染のみでなく、ダイオキシン等も高濃度で検出されているので、包括的な調査、分析、対処が必要でしょう。

廃棄物問題について、業者、沖縄県、ひいては私たち県民がごみの問題を深刻に考えてこなかったかを考えさせる事態です。汚染を軍事基地由来と考えたい力学が働きがちであることについても、一度考えるべきであると思います。

しかし、この小さな脆弱な島で、米軍基地を抱え、そのごみも引き受け、水の安全が脅かされていることは事実です。
中部のこの地域が”Forever Chemical”と呼ばれる浄化の難しい有害物質で汚染され、これだけの負担がかかっていること、島が耐えうる負担を超えているという事実を、このマップで共有できればと思います。

琉球朝日放送(QAB)のニュースでも、この件についてインタビューを受けていますのでぜひご覧ください。

QAB 「米軍から消火剤142トン PFOS・PFOAの汚染」 (2019.7.12)

このPFAS汚染視覚化事業は一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストのスポット助成事業により実施しています。

PFOS/PFOAだけでないPFAS汚染1)中部河川の汚染データから

「嘉手納基地内および周囲のPFAS(有機フッ素化合物)汚染状況マップ」記事に続き、私たちの住む地域のPFAS汚染を把握するために、ビジュアルエイドを用いながら状況やデータを整理していきます。その中でPFASそのものの理解にもつなげていこうと思います。

これまでの沖縄県内のPFAS(有機フッ素化合物)汚染の把握状況:
 –嘉手納基地・普天間基地・廃棄物処理場周囲–

これまで報道されている沖縄県内のPFAS汚染を整理してみましょう。
現在知られている沖縄県内のPFAS汚染は以下の3例です。
1)嘉手納基地由来と考えられる汚染
沖縄県のPFAS(有機フッ素化合物)汚染問題は、2016年の沖縄県企業局の発表から
嘉手納基地の泡消火剤由来と推測される水源地への汚染から、県民に周知されることとなりました(IPP作成汚染マップ記事参照)。
2)普天間基地由来と考えられる汚染
上記の嘉手納基地由来の汚染の対応を受け、限定的ですが、環境部環境保全課が同年冬期から全県的な調査を実施し、普天間基地周囲のPFAS汚染が明らかになりました。
普天間基地の泡消火剤が原因と考えられています(こちらのIPP記事参照)
3)産業廃棄物処理場(沖縄市池原)由来と考えられる汚染
IPPの環境部環境整備課への情報開示請求等により、沖縄市池原の廃棄物処理場(旧倉敷環境)が原因と考えられる地下水等のPFOS、PFOA汚染が明らかになっています(この汚染については次の記事で紹介します)。

基地汚染だけでないPFAS汚染:県衛生研による全県的な河川調査からみる

では沖縄県内のPFAS汚染はその上記の地域のみなのでしょうか。実は、2017年に発表・公開されている沖縄県衛生環境研究所(以下、県衛生研)の沖縄県本島河川の有機フッ素化合物の調査結果が、そうではないことを示しています。
 調査報告はこちら:塩川敦司・玉城不二美「沖縄島の河川及び海域における有機フッ素化合物の環境汚染調査」『沖縄県衛生環境研究所所報』第51号(2017)  

この調査は2014年に実施され、河川と海域における1回のみの採水の限定的な調査ですが、沖縄河川における、ある程度の汚染実態が把握できたと著者は述べています。
県衛生研の地図とデータを状況がわかるようにIPPで以下のとおりまとめてみました。

これをみると、現在沖縄県が調査している上記3地域だけではない、また、米軍基地汚染だけではないPFAS汚染が発生しているということがわかります。
(各地点については県衛生研の調査報告書を参照してください)

© The Informed-Public Project & Naofumi Nakato

PFOS、PFOAだけでないPFAS汚染

また、この調査では、PFOS、PFOAも含めた10種類のPFAS(PFBA, PFPeA, PFHxA, PFHpA, PFOA, PFNA, PFBS, PFHxS, PFHpS, PFOS)を調査しています。
PFASはPFOS、PFOAだけではありません。PFASは5000以上の種類が存在するといわれています。PFOS、PFOAの危険性が指摘され、規制されるようになってから、その代替物も含めた多くの種類のPFASが市場に流通しています。

 以下の図でもわかるように、私たちが認識し、対処が始まっている有機フッ素化合物はごくわずかなのです。

県内に発生しているのがPFOS、PFOA汚染だけではないこともこのデータからわかります。

 IPPの意見書等にはPFASの種類や性質についての説明を何度か書いていますが、PFASは、Forever Chemical (永遠に残る化学物質)と呼ばれるほど、残留性の高い、浄化処理の難しい化学物質です。しかし、PFOS、PFOAというやっと認識されるようになってきた物質でさえも、米国でも日本でも水道水の規制項目でないために、対処が後手になって混乱を招いているのは皆さんもご存知のとおりです。

そしてPFOS、PFOAの代替物であるPFASの安全性についても保証されていません。むしろPFOSやPFOAとの類似性や、PFOSやPFOAの代替物であるPFHxS、PFBS、PFHxAの危険性が指摘されています。ちなみに代替物の1つであるPFHxS はストックホルム条約会議の下部会議で、管理に関する評価を検討する段階に進めることを決定されています。また、IPPが紹介した米国毒物・疾病登録局(ATSDR)の2018年レポートでは、最小リスクレベル(Minimal Risk Levels, MRLs)が算出された4種類のPFASの1つです。
このようにPFOS、PFOAという2種類の汚染だけでなく、その代替物としても用いられている他のPFASの毒性を踏まえ、PFASを同性質の部類(class)としてとらえることの必要性がPFAS汚染問題に取り組む専門家、NGO等から呼びかけられています。(この件に関してはまた別に書きたいと思います。とりあえずはIPP記事「沖縄県による普天間基地周辺のPFAS(有機フッ素化合物)汚染調査に関する意見書」中の”3. 沖縄県の調査報告の問題”を参照)

水源を含む中部河川のPFAS汚染:PFOS、PFOAだけでない

この観点から、中部河川のPFAS汚染を見てみます。衛生研のデータで中部河川の部分を抜き出したものが以下の図です。

© The Informed-Public Project & Naofumi Nakato

上記データからみると、中部河川のPFASの汚染状況が県内で際立っていることがわかります。また、水源を含む比謝川で、10種類全てのPFASが検出されていることもわかります

比謝川の地点2は、比謝川取水ポンプ場で北谷浄水場の水源です。高濃度のPFAS検出値を示している地点162は大工廻川下流の米軍基地の排水の地点です。明らかにこれらの河川は米軍基地の影響を受けている地点です。
泡消火剤に使用されていたPFOS、そしてその代替物であるPFAS類の検出からも、米軍基地の影響であることが推測されます。

現在、企業局はPFOS、PFOAに加え、昨年度からPFOSの代替物質である、上述したPFHxSの3種類のPFASのモニタリングをしています。PFOS、PFOAに関しては活性炭フィルターを用いた除去対処をしていますが、他のPFASについてはまだ対処は考えられていません(企業局はPFHxS にも活性炭フィルターが有効と主張)。

私達の水源はこのように非常に危うい状態にあるということがわかります。嘉手納基地の影響を受ける場所を水源として用い続けることに対して、市民団体や市民から疑問の声があがっています。行政はその声をきちんと緊急に受け止める必要があります。

PFAS汚染は化学企業や軍が、有害性を知りながら、長期間、その事実を隠蔽し、汚染を拡大、蓄積させてきました。北谷浄水場のこの水源はPFOS、PFOA以外の有機フッ素化合物のみでなく、どんな基地汚染がこの河川に滲出してきたのか、しているのか、将来にもその可能性があるのか、沖縄側はそれに対処しきれるのかわからない水源であることは、私たちは共通の認識として持つ必要があると思います。
水の安全を沖縄側でコントロールできない水源であり、規制物質となるまでは相当なタイムラグがあることもあわせて考える必要もあります。

実際に、PFASが沖縄の住民の血液から検出されたことが、NHKクローズアップ現代+「化学物質“水汚染” リスクとどう向き合うか」(2019年5月15日(水)放送)で報道されました。北谷浄水場から給水されている水道水を飲料に用いる宜野湾市の市民の血中から、PFOS、PFOA、PFHxS が検出され、汚染が水をとおして私たちの身体に残留することが証明され、環境汚染と健康の関係が明らかになっています(この調査に関しては評価をまた別に書く予定です)。

河川に思いをはせて

これまで地点とPFASの検出値という無機的なデータ、そして水源に焦点を絞って書いてきました。しかし、河川は生きているもの。比謝川は、人々の水源であり、魚が住み、水辺には鳥が休み、マングローブが繁る河川です。沖縄の人々はこの川と長く歴史をともにしてきました。この川に元々は自然界にない、人間活動によって排出され、蓄積される化学物質があるという事実を、比謝川の風景をみながらともに最後に考えてみたいと思い、今泉慎也さんの河口のヒルギ林の写真を置いてこの記事のむすびにします。

河口のヒルギ林にて 写真:今泉慎也

写真提供:
今泉真也 Instagram 

このPFAS汚染視覚化事業は一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストのスポット助成事業により実施しています。

嘉手納基地内および周囲のPFAS(有機フッ素化合物)汚染状況マップ

沖縄のPFAS汚染状況を視覚化しています

 県内の有機フッ素化合物(PFOS,PFOA、PFHxS含むPFAS)汚染について、沖縄県が包括的な情報整理をしないので、メディアや市民の実態把握が難しい状態になっています。それは、米軍、米国や日本政府、県民への情報発信が十分でないことにもつながっています。

 それはまずい!ので、The Informed-Public Project(IPP)でこれまでのデータを地図に落とし込み、実態把握や情報発信につながるマップやビジュアルエイドを、これからいくつか提供していこうと思います。
 これまでもIPPが提供、発信した普天間基地のPFAS汚染状況マップはメディア(琉球新報、QAB)でも使用され、宜野湾市議会でも配布されるなど、市民の理解を助けるための道具となってきました。同じように市民の力となるビジュアルエイドを発信していく予定です。

嘉手納基地内および周囲のPFAS(有機フッ素化合物)汚染状況マップ

 今回は、嘉手納基地由来と考えられているPFAS汚染についてのマップを作成しました。北谷浄水場の水源であり、県民の飲み水に影響している汚染です。

 沖縄県企業局、環境部の公開資料、IPPが開示請求で入手した書類から、各有機フッ素化合物の最高値をいれたものが以下のマップです。河川、地下水、湧水、井戸からの汚染の状況がわかります。泡消火剤に含まれる/含まれていたPFASが、土壌・地下水に蓄積され浸出し、河川、井戸、地下水で検出されていることが推測されます。 これは嘉手納基地由来の汚染であることを示すマップにもなるのではないでしょうか。             各基地内の井戸の値は、IPPの情報開示で入手した初公開の値です。

嘉手納基地周辺の地下水の流れ

   こちらは、PFAS検出地点と地下水の流れと嘉手納基地の位置関係を示したマップです。既存の地図や情報を重ね合わせて作成しました。

このPFAS汚染視覚化事業は一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストのスポット助成事業により実施しています。

米連邦議会の委員会に沖縄のPFAS汚染問題の声明を出しました

The Informed-Public Project (IPP))は公式に米国へ声を届けることを始めました。

米国連邦議会の上院「環境と公共事業委員会」の2019年3月28日に行われたヒアリングにIPPからの声明を出しました。
声明はIPPのサイトの以下の英文記事に掲載しています。
Okinawa’s Concern Over PFAS Reaches the U.S. Senate
(「沖縄のPFASへの懸念が米国上院に届く」)
原文は記事の末尾に貼り付けています。
声明は他の米国のコミュニティからの手紙とともに委員会に公式に記録されました。

詳細は委員会のサイト参照:”Examining the federal response to the risks associated with per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) March 28, 2019”

環境と公共事業委員会でのカーパー議員の追及。掲げられているのはEnvionment Working Groupが作成している米国全土のPFASの汚染状況のマップ。

声明提出の経緯:米国アクティビストとの連携
米国でも有機フッ素化合物(PFAS)の市民の懸念は拡がっている一方、米国環境保護庁(EPA)、国防総省は迅速な対応をとろうとはしていません。
その行政の怠慢に対して、市民や議会が動き、各地で様々な委員会でのヒアリングなどが実施されています。 

IPPは、これまでも米国のアクティビストや科学者と情報共有し、連携してきたことから、「環境と公共事業委員会」の3月28日のヒアリングへの意見書提出を市民活動家のクリスティン・メロー氏(Kristen Mello co-founder of Westfield Residents Advocating For Themselves)に提案されました。IPPの意見書は同氏の手を経てエド・マーキー上院議員に届けられ、同委員会に提出されました。 米国のPFAS汚染に懸念する人々が沖縄のPFAS汚染問題を知り、沖縄をともに闘う仲間と認識してきたことから、このようなことが可能になりました。

声明の内容
声明の内容は、米軍基地(嘉手納基地、普天間基地)由来と考えられるPFAS汚染の現状と市民の懸念、日米地位協定の問題や、米軍が情報を出さないことなど解決されない障害となるものを説明し、問題の深刻さをデータも交え具体的に訴えています。

最後には委員会への以下の要請を記しています。
1)米国の国外基地におけるPFAS汚染と米軍基地周りの地域のコミュニティの問題について議論し検証すること
2)米軍に情報を提供させることを促すこと、また沖縄県が基地内で調査を実施できるよう協力することにより沖縄における米軍によるPFAS汚染の説明責任を果たさせること 
3) 日米地位協定が環境と沖縄の人々の人権を侵していることを認識すること。

和訳は、今後情報をアップデイトした次に提出した声明につけるつもりです。

声明と記録されることの意味
短い一つの市民の声明ですが、それなりの意味があると考えます。
1)沖縄のPFAS汚染のまとまった情報を国際的に発信したこと
沖縄県は企業局も環境部も米軍基地が汚染源であることを示すデータを十分に出してきました。
しかし、沖縄県が、米軍基地が由来と考えられるPFAS汚染問題に嘉手納基地、普天間基地、それぞれ所管の縦割り行政で対応し、それをまとめたものがありません。沖縄県としてこの汚染問題に特化した対外的な公式な意思表示もありません。
また、宜野湾市が普天間基地由来のPFAS汚染に関し基地由来と特定できない、という消極的な姿勢であることから、沖縄のPFAS汚染の対外的な発信は非常に弱い状態です。
「米軍を刺激したくないから」という理由で県が「意見交換」「協議の要請」を公にしない状態では、どのような対処を望んでいるのかわからないため、日米政府にプレッシャーをかけられていないのが実情です。
声明というコンパクトにまとめなくてならない形のため、詳細が伝えられない限界はありますが、市民からの懸念を一定の枠組みを持って米国からも読める形で発信できたという意味があります。 
日米地位協定の問題についても、このような具体的な事例でどんなに沖縄の人々の権利が奪われているか、安全が脅かされているのかの被害を訴えることが必要であると考えます。

沖縄県にも声明を送付し、このような発信を促す予定です。

2)文書を積み重ねる意味、記録される意味
米国は文書のコミュニケーションを重要視する国です。また、今後の米国への訴えや、国連などへの国際社会への訴えでも、発信してきた文書の積み重ねが重要な要素となります。これはそのための一歩ともいえます。
今、どんな状態で何を不合理であると考えているのか、何を望んでいるのかという声を積み重ねることが重要で、提出した文書が議会で公的に記録されることはその意味でも重要な意味を持ちます。

巨大な権力に知る権利を用いて説明責任を果たさせるためには、私たちはこのような「表現努力」(公害と闘った故宇井純氏の用いた言葉)を絶え間なくしていくことが必要なのだと思います。

今後も可能な限り、このような機会に問題を発信していくつもりです。

嘉手納町の屋良城跡公園のヒージャーガーにて。1700ng/L (PFOS+PFOA) が沖縄県の調査で検出されている。調査結果は嘉手納基地が汚染源である高い可能性を示している。 Masami Kawamura, Director, the Informed-Public Project

以下、声明文です。


March 24, 2019

The Honorable John Barrasso
Chairman, Senate Committee on Environment and Public Works
307 Dirksen Senate Office Building
Washington, DC 20150

The Honorable Thomas R. Carper
Ranking Member, Senate Committee on Environment and Public Works
513 Hart Senate Office Building
Washington, DC 20510

Dear Chairman Barrasso and Ranking Member Carper,

As the Director of the Informed-Public Project (IPP) in Okinawa, Japan, which has been working on the issues of environmental contamination related to the U.S. military bases in Okinawa, I write to inform you of the concerning situation of PFAS contamination in Okinawa and respectfully request you to take proper action.

PFAS Contamination on Okinawa
Okinawa, only 0.6% of Japan’s total area, has 70 % of the US military bases in Japan concentrated on its small islands. US bases occupy 15% of the entire area of Okinawa Island (the main island of Okinawa). The disproportionate concentration of US bases and their proximity to local communities have adversely affected the communities in various ways, and the issue of PFAS contamination is one of the most serious and urgent matters that call for the full attention of the US Government.

On Okinawa Island, PFOS/PFOA have been detected around two U.S. bases, Kadena Air Base (KAB) and Marine Corps Air Station Futenma (MCAS Futenma). According to surveys conducted by Okinawa Prefecture, it is highly likely that the two US bases have caused PFAS contamination. A local expert’s analysis of the survey data has also indicated that PFAS contamination should have occurred within the bases and PFOS/PFOA then would have seeped into water sources outside the bases.

A series of investigations by Jon Mitchell (correspondent reporter of Okinawa Times) using FOIA has revealed that KAB conducted on-site surveys on PFOS contamination in 2014, 2016 and 2017 (at 2 “hold ponds” and 16 “foam holding tanks”). It has also shown that US Military conducted surveys at MCAS Futenma in 2016 and PFOS (27,000 ng/L) and PFOA (1,800 ng/L) were detected from samples of wastewater from a fire pit training site on the base.
All the survey data available and analyses of them point to KAB and MCAS Futenma as the most likely sources of PFAS contamination on Okinawa.

Our Concern: PFOS/PFOA Affecting Sources of Drinking Water and Seeping into Agricultural Fields
I am very concerned that PFOS/PFOA have been detected in some of the sources of drinking water around KAB. For example, according to the recent report by the Okinawa Prefectural Enterprise Bureau (OPEB), the agency in charge of safeguarding drinking water, PFOS/PFOA (971ng/L) were detected in the Dakujyaku river in February 2019. (See this site http://www.eb.pref.okinawa.jp/opeb/309/619). In response, OPEB has installed a carbon filtration system at the Chatan Water Treatment Plant to remove PFOS/PFOA from water coming from the sources around KAB, and it has been monitoring the levels of PFOS/PFOA at the sources. Despite OPEB’s efforts, however, the issue of PFAS contamination at the water sources around KAB remains unresolved.

It should be emphasized that the Chatan Water Treatment Plant provides drinking water for US bases in Okinawa via local municipalities. In fact, in light of the issue of PFAS contamination becoming public, KAB released an announcement to its community on January 27, 2016. The announcement, however, downplayed the seriousness of the issue. (See this site: https://www.kadena.af.mil/portals/40/documents/AFD-160124-001.pdf).

I am also very concerned that PFOS/PFOA have been detected in natural springs around MCAS Futenma and local community members have long used water from the springs, not as drinking water but for other purposes including growing agricultural products and domestic gardening. According to the most recent report by the Environmental Preservation Division at the Department of Environmental Affairs of the Okinawa Prefectural Government, the department in charge of safeguarding water sources other than those of drinking water, PFOS/PFOA (2,000 ng/L) were detected in the Chunnagaa spring in the summer of 2018. (See this site
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/hozen/mizu_tsuchi/water/documents/jfy2018s_report.pdf). The water from this particular spring is used for domestic gardening, which certainly poses a danger to the health and safety of the local communities. While the Department of Environmental Affairs conducts surveys twice a year (summer and winter), the issue of PFAS contamination at MCAS Futenma remains unresolved.

Our Concern: US Military Evading Its Responsibility
Despite all the survey data available and analyses of them point to the US bases as the sources of PFAS contamination, the US Military has not taken proper action. Instead, in my view, it has evaded its responsibility.

Between 2016 and 2018, the Okinawa Prefectural Enterprise Bureau held four meetings with KAB and the Okinawa Defense Bureau (Japanese Government) with an aim to discuss the issues of PFOS/PFOA related to KAB. During the meetings, however, KAB did not mention its on-site surveys in 2014, 2016 and 2017 (at 2 “hold ponds” and 16 “foam holding tanks”) and their concerning results. In fact, at no point, the US Military informed the Prefectural Government and the people of Okinawa that the military conducted on-site surveys regarding PFAS contamination.

In 2016, the US Military even declined the Environmental Preservation Division’s request for a meeting to discuss the issues of PFAS contamination related to MCAS Futenma. As IPP’s investigation using the Japanese FOIA has revealed, the Marine Corps Installations Pacific replied to the Environmental Preservation Division that “Since PFOS is not a regulated substance in the US and Japan, therefore there is no point in responding to additional questions or holding a meeting for which there are no established standards nor regulations.” The US Military’s declination was irresponsible, and its reply was contrary to the fact that DOD formally recognized PFOS/PFOA as “Emerging Contaminants” in 2009.

Moreover, the US Military has rejected the requests by the Government of Japan and Okinawa Prefectural Government to conduct surveys regarding PFOS/PFOA on the bases. The Department of Defense’s report Addressing Perfluorooctane Sulfonate (PFOS) and Perfluorooctanoic Acid (PFOA), which was issued in March 2018 as an official response to the House Report 115-200, did not even include these test results from KAB and MCAS Futenma although it addressed test results from other US bases overseas.

Our struggle and Obstacles
The US Military has not been forthcoming with information on PFOS/PFOA on KAB and MCAS Futenma. It has not allowed the Okinawa Prefectural Government or the Japanese Government to carry out surveys on the bases. As a result, no comprehensive study and no sufficient clean-up of PFAS contamination have been carried out on Okinawa. No effective measure has been set up or implemented to safeguard the future of Okinawa. All the while, members of the communities, including members of US bases on Okinawa, are constantly exposed to the danger of PFOS/PFAS.

IPP and community members of Okinawa have been struggling to change this situation. We have spent so much time and energy to try to address the issue of PFAS contamination and protect ourselves and our environment. So far, we have made little progress. The US military remains indifferent to our concerns, and the way the Status of Forces Agreement (SOFA) between the US and Japanese Governments has been interpreted and implemented remain obstacles to our struggle.

We are also concerned that the February 2019 (delayed) action of the US Environment Protection Agency addressing PFAS contamination is not enough. As in most of the states in the United States, the Okinawa Prefectural Government has used the EPA’s Health Advisories as its guidelines and standards to evaluate the safety and quality of water contaminated by PFOS/PFOA. We believe that more stringent safety standards and measures have to be adopted.

Our Requests
It is imperative that proper action has to be taken in Okinawa and Japan and in the US. I thus wrote a letter of request to the Okinawa Prefectural Government, requesting them to review its policies on the issues of PFOS/PFOA contamination. I am now turning to the Senate Committee and respectfully request the Committee as follows:

1) Discuss and review the issue of PFAS contamination on the US military’s bases overseas and affected local communities around the bases;

2) Hold the U.S. Military accountable for the issue of PFAS contamination on Okinawa by encouraging the US Military to be more forthcoming with information and by collaborating with the Okinawa Prefectural Government to conduct surveys on the bases;

3) Recognize that the SOFA violates the environment and human rights of the people of Okinawa.

Thank you for your time and attention to the issue of PFAS contamination on Okinawa.

Respectfully submitted,

Dr. Masami Kawamura
The Informed-Public Project,
Okinawa, Japan
http://ipp.okinawa
director@ipp.okinawa

 

有機フッ素化合物の米国毒物・疾病登録局(ATSDR)のレポートに関する要請・提言

The Informed-Public Projectは沖縄県内で、嘉手納飛行場、普天間飛行場での米軍基地由来と考えられる有機フッ素化合物についての監視・調査活動・政策提言を行ってきました。

沖縄県は米国環境保護庁(EPA)の生涯勧告値70ng/Lを、飲料水の安全のチェックの目安や、検出地での濃度の判断に用いています。 

米国では毒性物質・疾病登録庁(Agency for Toxic Substances and Disease Registry, ATSDR)の「パーフルオロアルキル基の毒性プロファイル:パブリック・コメントのための草案 (Toxicological Profile for Perfluoroalkyls: Draft for Public Comment)」(以下、ATSDRレポート)が2018年6月20日に発表されました。このレポートの発表でEPAの生涯勧告値に頼ることの疑念が科学者、市民グループから示されています。

IPPは、ATSDRレポートと、それをめぐる米国の動きを鑑み、沖縄県が早急に現在の政策を見直し、適切な措置を講ずることを促すための警告的な提言をする手紙を書きました。

この要請書は琉球新報(2018.7.11)、沖縄タイムス(2018.7.12)に報道されました。写しは関係市町村、県議会関係委員会、自治会等に送付しています。

以下、要請・提言書です。

 

2018年7月8日

沖縄県知事 翁長 雄志殿
沖縄県企業局長 金城 武殿
沖縄県環境部長 大浜 浩志殿
沖縄県保健医療部長 砂川 靖殿
沖縄県企画部長 川満 誠一殿
沖縄県知事公室長 池田 竹州殿

The Informed-Public Project
代表 河村 雅美

有機フッ素化合物の米国毒物・疾病登録局(ATSDR)のレポートに関する要請・提言

 インフォームド・パブリック・プロジェクト(The Informed-Public Project, IPP)は、環境、主に米軍基地に由来する汚染問題について調査・監視・政策提言をする団体です。これまで米軍基地由来と考えられる有機フッ素化合物のPFOS/PFOA汚染の問題に取り組んできました。

 IPPは沖縄県や県民に本件に関する米国の情勢を伝え、県民の安全と健康を守るために、沖縄県が適切な対策をとることを提言するためにこの手紙を書いています。

 米国の毒性物質・疾病登録庁(Agency for Toxic Substances and Disease Registry, 米国保健福祉省の一部局、以下ATSDR)は「パーフルオロアルキル基の毒性プロファイル:パブリック・コメントのための草案 (Toxicological Profile for Perfluoroalkyls: Draft for Public Comment)」(以下、ATSDRレポート)を2018年6月20日に発表しました[1]。この手紙は、ATSDRレポートと、それをめぐる米国の動きを鑑み、沖縄県が早急に現在の政策を見直し、適切な措置を講ずることを促すための警告的な提言です。

 有機フッ素化合物は、発がん性があることが確認されています。その他にも、疫学的な調査では肝臓(血清脂質レベルの増加)、心血管(妊娠誘発高血圧症、子癇)、内分泌(甲状腺疾患)、免疫(ワクチンへの抗体反応低下、喘息)、生殖(生殖力の低下)、発生(低体重等)への影響の可能性が指摘されています[2]

 沖縄県では嘉手納基地、普天間基地が汚染源と考えられるPFOS/PFOAの深刻な汚染が近年、確認されています。

 沖縄県企業局は、嘉手納基地が汚染源と推測されるPFOS/PFOA汚染に対処してきました。2013年から、北谷浄水場の水源の河川等のPFOS/PFOAを計測し、安全な水を供給するために粒状活性炭フィルターを設置するなどの対応をしてきました[3]
沖縄県環境部は上記の状況を受け、2016年度から全県的な調査を実施し、高濃度のPFOS/PFOAが検出された普天間基地周囲の調査を継続しています[4]
 いずれも米軍が1970年代から使用していた泡消火剤に含まれていたPFOS/PFOAによる土壌汚染・地下水汚染の影響であると推測されます。
 また、沖縄県環境衛生研究所では、沖縄本島全域の河川と3海域で有機フッ素化合物18物質の調査を2014年に実施しており、他の有機フッ素化合物の汚染も確認されています[5]

 沖縄県では、政策を実施するに当たり、PFOS/PFOAの国内の規制値がないために、米国環境保護庁(EPA)が2016年に設定した70ng/Lという生涯勧告値を基準にしています[6]
 これまで企業局では、北谷浄水場の浄水のPFOSとPFOAの合計値70ng/L以下を安全の目安としてきました。また、環境部も調査結果の発表時には、上記の数値を目安として用いてきました。

 しかし、米国では、EPAの生涯勧告値は法的強制力がないこと、EPAの70ng/Lという値の安全性について問われるようになったことから、実際にPFOS/PFOAの汚染の問題を抱える地域では、州で独自にEPAより厳しい値を設定するなどの対応がとられてきました[7]
 全米的な飲料水汚染の実態が把握され[8]、米軍基地による汚染問題としても問題化されるなど[9]、環境汚染、健康被害の深刻な問題として認識されるようになっていることがその背景にあります[10]

 そのような状況の中、上述のとおり、2018年6月20日、米国のATSDRレポートが発表されました。
 ATSDRレポートは、14種類のパーフルオロアルキル基と健康への影響についてのこれまでの研究を検証した852ページのレポートで、専門家によりまとめられ、同領域の専門家の検証(peer review)を経て公表されています。パブリック・コメントを7月23日まで受け付け、重大な変更が必要な場合は再度の専門家の検証を経て、最終版がリリースされます[11]
 同レポートは、これまで安全であると考えられていた値より、大幅に低い値が示されていることから、環境政策を後退させているトランプ政権下のホワイトハウス、EPA、国防総省が社会的反響を恐れ、公開を拒んでいた問題のレポートでした[12]。有機フッ素化合物の汚染に取り組んできた団体、議員、メディアから早期の公開が強く求められ、公開に至ったという背景があります。

 ATSDRレポートの中では、4種類の有機フッ素化合物の最小リスクレベル(Minimal Risk Levels, MRLs)が算出され[13]、PFOS/PFOAのEPAの生涯勧告値の7-10倍以上低い数字が算出されていると報道されています[14]。それは、従来、発生への影響単独で算出されたものではなく、免疫への影響を考慮にいれたことによるものであることがATSDRのリリースに述べられています。そのリリースでは、ATSDRのMRLsとEPAの生涯勧告値は目的や用いる状況が異なること、MRLsが規制値を規定するもではないことも述べられています[15]。しかし、専門家がATSDRのレポートの数値を、EPAの生涯勧告値飲料水のレベルに換算するとPFOAは11ppt, PFOSは7pptという数値が算出されており、このATSDRレポートの発表を機に、これまでのEPAの生涯勧告値を用い続けることには専門家から警鐘が鳴らされています[16]
 このような状況を鑑みると、沖縄県が、現在のEPAの生涯勧告値の値に依拠し続けることは検討するべき時にあるといえます。2015年には北谷浄水場の浄水がEPAの生涯勧告値を超える82ppt, 120pptを計測したこともあります。沖縄県は、連邦レベルや日本政府の対応を待つよりも、米国で実際に汚染問題が発生している自治体が採用する、現実的な政策や、各コミュニティの活動や政策提言[17]を参照として対策をたてていくことが妥当であり、最新の研究結果を採用していくことが必要であると考えます。

 概して汚染の問題は、初動で影響を過小評価、矮小化することから被害が広がることが歴史的な教訓としてあります。1970年代から使用されていた泡消火剤の対処が2013年であることを考えると、既に対策が遅れたことは否めません。このような経緯を踏まえ、今後の対応措置は予防原則的なアプローチを採用し、対処することを求めます。

 上記のような状況を受け、IPPは沖縄県民の水の安全を守るため、以下を沖縄県に要請・提言します。

  1. 汚染の対処の経験があり、先進的な対策をとる米国の自治体の政策を参照とし、安全な水の供給のための対策を検討すること(企業局、環境部、保健医療部)

 北谷浄水場の浄水は2018年のPFOS/PFOAの合計最高値は63ng/L, 2018年度の平均は41ng/Lです[18]。ATSDRレポートを踏まえ、安全な水の供給のための対策、市民への対応を早急に検討することを要請します。上述のように、米国で汚染問題が発生している地域の現実的な対処を参照とすることを強く提唱します。米国バーモント州健康部では飲料水でPFOA、PFOS、PFHxS、PFHpA、PFNAの5種のPFAS(ペルフルオロアルキル化合物)の合計が20pptを超えないことに加え、曝露を最小限にするため、料理や歯磨き、粉ミルク等にも用いないように提唱しています[19]
 また、北谷浄水場の水源で高濃度のPFOS/PFOA汚染が検出され続けていることについては、基地内の土壌汚染、地下水汚染を特定する調査の実施や、汚染の抜本的な対策が実現するように、米軍、日本政府に対しての強い要請を文書化し、交渉の過程をオープンな形で行うことを求めます。

  1. PFOS/PFOAの検出地における対応を、市町村や自治会と再考すること(環境部、保健医療部、企画部)

 検出地での飲用禁止の周知(看板、市報など)、特に1000pptという高濃度でPFOS/PFOAが検出されているチュンナーガーの簡易水道について、早急に対応を検討することを要請します。上述のバーモント州健康局では、市民への案内で、5種のPFASが20pptを超える水は、庭の散水にも使用しないように呼びかけており、PFASが野菜に吸収される可能性についても述べています[20]。一方、同州の農業・食品・市場局は科学的な文献、研究者や健康部との協議の結果をもとにした「ガーデニング、商品作物とPFOAに関するFAQ」を掲載し、部局を超えて連携し、市民や農業関係者の問いにも専門家が毒物学者が答えられる体制を整えています[21]
 検出地の管轄が自治会でも、汚染が確認されている地域の水の管理や市民への周知の対策については、市や県などが専門家の知見をもとに、責任を持つ体制を検討することを提言します。
 普天間基地周囲の汚染については、基地内での土壌汚染、地下水汚染が発生している可能性が高いので、抜本的な対策として、また、返還跡地の問題としても対処することが必要であることを県の企画部や宜野湾市とともに認識し、日本政府任せにせず、アクション・プランをたて、行動に移すことを求めます。特に跡地では「地下に流れる水の道」をコンセプトにした公園計画があります[22]。跡地計画と汚染対処を一体に考える体制を整える事が必要です。
 また、汚染の抜本的な対策について、米軍、日本政府に対しての強い要請を文書化し、交渉の過程をオープンな形で行うことを求めます。

  1. 保健医療部は有機フッ素化合物の健康への影響について検証し、健康調査等、公衆衛生的な対策の検討を開始すること。

 米軍の泡消火剤は1970年代から使用されており、県民の長期的な曝露の影響等が懸念されます。また、上述のとおり北谷浄水場の浄水がEPAの生涯勧告値、82ppt, 120pptを計測したこともありました。ATSDRレポートでレビューされている調査報告や、米国で実施されている健康調査のレポート[23]などを参考にし、公衆衛生的アプローチを検討することを要請します。

  1. 県庁内で有機フッ素化合物に対する横の連携を築き、知見を蓄積すること。

 現在、沖縄県が対処している有機フッ素化合物はPFOSとPFOAに限定されていますが、実際は4000種類以上の化合物が存在し[24]、米軍が使用している泡消火剤が異なる有機フッ素化合物を用いた代替物である可能性も示唆されています[25]
 沖縄県は、従来の縦割り行政で対処せず、企業局、環境部、環境衛生研究所等で連携して全体で知見を高め、情報交換を恒常的に行い、対米国への対処についても知事公室も含めてこの問題に取り組むことを要請します。

  1. PFOS/PFOA汚染問題に特化した発信を行い、日本政府の積極的な対処を求めること。

 このような米軍基地特有の汚染問題が沖縄で発生している一方で、有機フッ素化合物の、国内規制がないために対処が困難になっています。防衛省、外務省のみならず、環境省、厚生労働省等に問題を整理して伝え、しかるべく対処を求めることを要求します。
 また、渉外知事会等でも日米地位協定の国際比較のような枠組みの問題ではなく、このような安全や健康に係る、緊急の具体的な問題で、基地による環境汚染の深刻さ、問題解決の困難さ、日米地位協定による被害を訴えることを提案します。

 以上の対応に関して、県民にその過程を適時オープンに伝えることを求めます。

以上。


[1]Agency for Toxic Substances and Disease Registry ”Toxicological Profile for Perfluoroalkyls Draft for Public Comment”. https://www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/tp.asp?id=1117&tid=237.

[2]ATSDRレポート, p.25による。詳細はATSDRのサイトを参照のこと。 https://www.atsdr.cdc.gov/pfas/ (2018年7月5日アクセス)。

[3]沖縄県企業局HP「企業局における有機フッ素化合物の検出状況について」 https://www.eb.pref.okinawa.jp/opeb/309/619  (2018年7月5日アクセス)。

[4]沖縄県環境保全部HPで公表されている。最新版は「平成29年度有機フッ素化合物環境中実態調査の冬季結果報告について」 http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/hozen/mizu_tsuchi/water/pfos-pfoa_h29-winter-result.html (2018年7月5日アクセス)。
日本政府とのやりとりの文書は環境政策課のHPで公表されている。「宜野湾市湧水において検出された有機フッ素化合物の対策等についての沖縄防衛局からの回答」 http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/seisaku/kichikankyo/ginowan.html (2018年7月5日アクセス)。

[5]沖縄県環境衛生研究所HPで公表されている。塩川敦司・玉城不二美「沖縄島の河川及び海域における有機フッ素化合物の環境汚染調査」『沖縄県衛生環境研究所所報』第51号(2017)http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/hoken/eiken/syoho/documents/51-p33-48.pdf (2018年7月5日アクセス)。

[6]EPAのPFOS/PFOAを含むペルフルオロアルキル化合物(PFAS)についての政策については”Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS)”を参照。 https://www.epa.gov/pfas(2018年7月5日アクセス)。環境省は以下のファクトシートを参照。「国内等の動向について(PFOS)」 https://www.env.go.jp/council/09water/y095-13/mat07_2.pdf, 「[18]ペルフルオロオクタン酸及びその塩」(PFOA)。 https://www.env.go.jp/chemi/report/h19-03/pdf/chpt1/1-2-2-18.pdf (2018年7月5日アクセス)。

[7]例えば、バーモント州はPFOA、PFOSを含む5種類のペルフルオロアルキル化合物(PFAS)の合計値が20pptを超えないことを推奨している。Vermont Department of Health, “Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) in Drinking Water.” http://www.healthvermont.gov/environment/drinking-water/perfluoroalkyl-and-polyfluoroalkyl-substances-pfas-drinking-water(2018年7月5日アクセス)。ニュージャージー州は最大許容濃度(Maximum Contaminant Level, MCL)としてPFOAを14ppt、PFNAを13ppt に設定する案を策定。State of New Jersey, Department of Environmental Protection , News Release,”Christie Administration Takes Action to Enhance Protection of New Jersey’s Drinking Water”, November 1, 2017, https://www.nj.gov/dep/newsrel/2017/17_0104.htm (2018年7月5日アクセス)。ニューハンプシャーはPFOS、PFOAの地下水の基準を設定している。New Hampshire Department of Environmental Services Release, “NHDES Establishes Ambient Groundwater Quality Standard for Perfluorooctanoic Acid (PFOA) and Perfluorooctane Sulfonate(PFOS)”, May 31, 2016, https://www.des.nh.gov/media/pr/2016/20160531-pfoa-standard.htm(2018年7月5日アクセス)。ATSDRレポート、p.646も参照。
米国のNGO、National Resources Defense Council (NRDC)は、複数の汚染地域を抱えるニューヨーク州の健康部委員会への要望書(”Re: Setting a Maximum Contaminant Level for Perfluorooctanoic Acid (PFOA) and Perfluorooctanesulfonic Acid (PFOS)”)を提出し、PFOSとPFOAの合計値を4-10pptに設定することを推奨している。NRDC Releases Report on PFOA, Urging Prompt Regulation, February 27, 2018, https://www.nrdc.org/experts/kimberly-ong/nrdc-releases-report-pfoa-urging-prompt-regulation(2018年7月5日アクセス)。

[8]Xindi C. Hu et al., *Detection of Poly- and Perfluoroalkyl Substances (PFASs) in U.S. Drinking Water Linked to Industrial Sites, Military Fire Training Areas, and Wastewater Treatment Plants”  Environ. Sci. Technol. Lett., 3, 10, 344-350, (2016), https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.estlett.6b00260 (2018年7月5日アクセス) 。有機フッ素化合物の問題に取り組む環境団体Environment Working Groupによる米国の飲料水汚染の状態を示したインタラクティブマップ等の記事も参照されたい。”Mapping a Contamination Crisis: PFCs Pollute Tap Water for 15 Million People, Dozens of Industrial Sites”, June 8, 2017, https://www.ewg.org/research/mapping-contamination-crisis#.WzGcMqf7SUk (2018年7月5日アクセス) 。

[9]米軍基地由来のPFOS/PFOA汚染に関しては別途情報をまとめる予定である。ここでは参考としてTara Copp, ”DoD: At least 126 bases report water contaminants linked to cancer, birth defects”, Military Times,April 26, 2018, https://www.militarytimes.com/news/your-military/2018/04/26/dod-126-bases-report-water-contaminants-harmful-to-infant-development-tied-to-cancers/ (2018年7月5日アクセス)。

[10]例えばPFOA汚染被害を起こしたデュポンへの70000人の集団訴訟に勝訴したRob Billot 弁護士の記事を参照。Nathaniel Rich, ”The Lawyer Who Became DuPont’s Worst Nightmare”, The New York Times, January 6, 2016, https://www.nytimes.com/2016/01/10/magazine/the-lawyer-who-became-duponts-worst-nightmare.html (2018年7月5日アクセス)。

[11]ATSDR ”PFAs Toxicological Profile Key messages June, 2018”  https://www.atsdr.cdc.gov/docs/PFAS_Public_KeyMessages_June20_Final-508.pdf (2018年7月6日アクセス)。

[12]この事実はPoliticoの調査報道により明らかになった。Annie Snider, “White House, EPA headed off chemical pollution study”, Politico, May 14, 2018,  (https://www.politico.com/story/2018/05/14/emails-white-house-interfered-with-science-study-536950). (2018年7月5日アクセス)。

[13]PFOS・PFOAの他に、PFHxS、PFNAのMRLsが挙げられている。

[14]Ellen Knickmeyer, “Report finds industrial chemicals more toxic than thought”, AP News, Jun. 20, 2018, https://apnews.com/54e8af9f5bb04c3084eff98f674cf6f5(2018年7月5日アクセス) , Stephanie Ebbs and DR. Karine Tawagi, “Threshold for harmful chemicals in drinking water lower than thought: Study”, ABC News,June 21, 2018 ,https://abcnews.go.com/Politics/threshold-harmful-chemicals-drinking-water-lower-thought-study/story?id=56029597(2018年7月5日アクセス)。

[15]ATSDR”PFAs Toxicological Profile Key messages June, 2018”,  https://www.atsdr.cdc.gov/docs/PFAS_Public_KeyMessages_June20_Final-508.pdf (2018年7月6日アクセス)

[16]Silent Spring Instituteの研究者Laurel Schaiderにより算出。Dr.Schaiderは注8のXindi C.Hu論文の共著者である。Cheryl Hogue,“U.S. report proposes lower safe level for perfluorochemical exposure:ATSDR daily dose numbers for PFOS and PFOA are one-tenth those of EPA”,Chemical & Engineering News, June 22, 2018 | Vol.96, Issue 26 , https://cen.acs.org/environment/persistent-pollutants/US-report-proposes-lower-safe/96/i26 , (2018年7月6日アクセス); Garret Ellison, “Blocked report drops PFAS safety level into single digits”, Mlive, June 21, https://www.mlive.com/news/index.ssf/2018/06/atsdr_pfas_toxprofiles_study.html  (2018年7月5日アクセス); Evan Bevins, “Brooks: PFAS advisory levels must drop: Doctor from C8 study pleased with release of federal report”, News and Sentinel, June 22, 2018.  http://www.newsandsentinel.com/news/local-news/2018/06/brooks-pfas-advisory-levels-must-drop/ (2018年7月5日アクセス)。

[17]PFAS問題に取り組む地域のグループのネットワークNational PFAS Contamination Coalitionのウェブサイト参照。https://pfasproject.net//(2018年7月5日アクセス)。

[18]2018年7月6日更新のデータ。 https://www.eb.pref.okinawa.jp/userfiles/files/autoupload/180608PFOS.pdf (2018年7月6日アクセス)。

[19]バーモント州健康局の”What is the Health Department’s advice for PFAS in drinking water?”http://www.healthvermont.gov/environment/drinking-water/perfluoroalkyl-and-polyfluoroalkyl-substances-pfas-drinking-water (2018年7月5日アクセス)。

[20]同上。

[21]バーモント州農業・食品・市場局”Frequently Asked Questions About Gardening, Commercial Produce and PFOA”,  April 22, 2016,  http://agriculture.vermont.gov/sites/ag/files/PDF/PFOA_AgProductsFAQ.pdf (2018年7月5日アクセス)。

[22]沖縄県公式チャンネル「普天間未来予想図VR編vol.3」(平成29年3月制作) https://www.youtube.com/watch?v=yiilzLbAO3A&t=195s(2018年7月5日アクセス)。

[23]血液調査や健康調査については、元ピーズ空軍基地の泡消火剤で飲料水が汚染されたニューハンプシャーの調査が参考になる。Agency for Toxic Substances and Disease Registry, “Feasibility Assessment for Epidemiological Studies at Pease International Tradeport, Portsmouth, New Hampshire”, November 2017. https://www.atsdr.cdc.gov/sites/pease/documents/Pease_Feasibility_Assessment_November-2017_508.pdf (2018年7月3日アクセス); State of New Hampshire, Department of Health and Human Services Division of Public Health Services, “Pease PFC Blood Testing Program: April 2015-October 2015”, June 16, 2016, https://www.dhhs.nh.gov/dphs/documents/pease-pfc-blood-testing.pdf ( 2018年7月3日アクセス)

[24]経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development, OECD)の有機フッ素化合物のポータルによると4730種類の有機フッ素化合物が確認されている。
OECD, ENV/JM/MONO(2018)7, ”Environment Directorate Joint Meeting of the Chemicals Committee and the Working Party on Chemicals, Pesticides and Biotechnology: Toward a  New Comprehensive Global Database of Per- and  Polyfluoroalkyl Substances (PFASs):
Summary Report on Updating the OECD 2007 List of Per- and Polyfluroalkyl Substances(PFAS) ,  Series on Risk Management No.39”, (May, 4, 2018) http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ENV-JM-MONO(2018)7&doclanguage=en( 2018年7月3日アクセス)
Sharon Learner, “PFOA AND PFOS are only the Best-Known Members of a very Dangerous Class of Chemicals”, The Intercept, February 10, https://theintercept.com/2018/02/10/pfos-pfoa-epa-chemical-contamination/ (2018年7月5日アクセス)。

[25]The Intercept のSharon Learner記者による一連の調査報道を参照されたい。特にSharon Learner,“The U.S. Military is Spending Millions to Replace Toxic Firefighting Foam with Toxic Firefighting Foam”, The Intercept, Feburuary 10, 2018 https://theintercept.com/2018/02/10/firefighting-foam-afff-pfos-pfoa-epa/ (2018年7月5日アクセス)。


写し送付先:

北中城村長 新垣邦夫
中城村長 浜田 京介
宜野湾市長 佐喜眞 淳
浦添市長 松本 哲治
沖縄市長 桑江 朝千夫
北谷町長 野国 昌春
那覇市長 城間 幹子

沖縄県議会議長 新里 米吉
沖縄県議会 総務企画委員会委員長 渡久地修
沖縄県議会 土木環境委員会委員長 新垣清涼
沖縄県議会 文教厚生委員会委員長 狩俣信子
沖縄県議会 米軍基地関係特別委員会委員長 仲宗根悟

宜野湾市喜友名自治会長 知念 参雄
宜野湾市自治会長 花城 君子

宜野湾市軍用地等地主会 又吉 信一
一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会 眞喜志 康明

沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎
外務省特命全権大使(沖縄担当)川村 裕

環境大臣 中川雅治
厚生労働大臣 加藤 勝信


※送付した文書に間違いがありましたので訂正したものをこちらにアップしています。 ADSTDRレポートに関する提言要請文 PDF –
 
この件に関する問い合わせ先:
The Informed-Public Project 代表 河村 雅美
director@ipp.okinawa
ウェブサイト:http://ipp.okinawa/ 

 

Article 001 日本政府は米軍に沖縄の要求を正しく伝えているか

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001 Report 記事:PFOS文書問題 「日本政府は米軍に沖縄の要求を正しく伝えているか」について、沖縄タイムス、琉球新報の県内二紙が一面に掲載、両紙の社説でも取り上げられた。

Report 001 日本政府は米軍に沖縄の要求を正しく伝えているか

 13838597_1288061401234034_1255818670_o IPPレポート No.1【速報版】日本政府は米軍に沖縄の要求を正しく伝えているか
:PFOS汚染を事例にした沖縄県、沖縄防衛局、米軍間コミュニケーションの検証

2016年3月25日
河村 雅美(Dr. Masami Kawamura  The Informed-Public Project 代表)

IPPレポNo-1PDF版

ポイント

  • 沖縄防衛局は県企業局の要請を稚拙な英訳で米軍に送付している。稚拙な英文書簡は沖縄県が作成した書簡であると米軍に認識されている可能性もある。
  • 沖縄防衛局は沖縄県企業局の意思を正確に反映する文書を米軍に送っていない。沖縄防衛局の米軍への要請内容は、沖縄県企業局の米軍への要請よりも弱い要請になっていた。
  • 沖縄の自治体の意思を米軍に届ける日本政府の文書の位置づけが不明
  • 沖縄防衛局はこのような事態の経緯を説明すべきである。
  • 沖縄側から米軍への要請や抗議の方法は検討を要する。

 

本稿の目的

  本レポートでは、米軍基地被害に関する自治体、日本政府、米国間の文書がどのように交換されているかについて、2016年に県民に報告された嘉手納基地周辺の水源の有機フッ素化合物(PFOS)汚染の事例を用いて検証する。基地被害の問題において、このような文書の交換やコミュニケーションへの検証はこれまでほとんどなく、それゆえいわゆる「基地問題」において見落とされてきた部分の認識や、より具体的な対応策につながるものと考える。 続きを読む