環境省がPFOSとPFOAの水質基準等の見直しについて2/26(水)から3月27日(木)まで意見の募集(パブリックコメント)を行っています。
この記事は、パブリックコメントのサイト、提出方法、ポイント、文案などを紹介します👇️
目次
環境省にパブコメをだしましょう! 3月27日(木)が〆切
PFAS(有機フッ素化合物)による汚染が全国各地で問題となっています。
環境省はこれまで暫定目標値であった「PFOSとPFOAの合計50ng/L」を規制値である水質基準とする方針を示し、パブリックコメント(意見募集)を始めました。
募集期間は2/26-3/27です。
パブコメサイトはこちら
【環境省案内】
「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)」等に関する意見の募集(パブリックコメント)について
【e-Gov パブコメサイト】
「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)」等に関する御意見の募集について
パブコメの提出方法
パブコメの提出方法は以下のとおりです。
意見募集要項で確認してください。
「意見募集の対象」に示した資料名、ページ等を明記して意見を書くとの指示あり。
(例:「【別紙○】○ページについて」等)。
①電子政府の総合窓口(e-Gov)の利用
e-Govはこちら →ここから資料の確認をしてチェックし、
以下の意見入力の欄に移ります。
👇️のような2000字までのフォーム入力による提出です。
電子ファイルの意見提出は許可されていません。
(機種依存文字です、とはねられることもあるので
時間の余裕を持って提出したほうがよいですよ〜)

②郵送
A4版用紙を用いて、締切日必着。
パブコメのポイント:なぜ50ng/L ?
水質基準の根拠=食品安全委員会のリスク評価への疑義
パブコメは何を書いたらいいか、いくつかポイントをあげておきます。
ここでは水質基準についてが中心になります。
①50ng/Lが米国やEUと比較して高いことへの懸念を示すということは大事です。
👇️の表を参考にしてください。

諸永裕司さん作成
高木基金PFASプロジェクト「PFAS評価書」検証レポートより
②今回は、高木基金PFASプロジェクトがPFAS水質基準の根拠が崩れたことを明らかにしたことから、この50ng/Lという数字への疑義を書いて、評価のやり直しを求めることもパブコメで書くことができます。
パブコメの環境省の水質基準は、食品安全委員会(食安委)が設定したPFOS、PFOAの「耐容一日摂取量(TDI)」(人が生涯にわたり毎日身体に取り込んでも健康への影響がないと推定される値)20ng/kg 体重/日をもとにしたものです。これは米国と比べて200〜666倍大きい値です。
これをもとにして、PFOS、PFOAの水質基準を50ng/Lと設定したという経緯があります。
なぜ、食安委はこのような高い、緩い値の設定をしたのでしょうか?
この過程を「高木基金PFASプロジェクト」が検証したところ、大量の参照論文が差し替えられ、PFASがもたらす健康影響が過小評価されたことが明らかになりました。

高木基金PFASプロジェクト 「PFAS評価書」検証レポートより
日本のこれまでの暫定目標値50ng/Lは、もともと、米国環境保護庁(EPA)の勧告値をもとに設定されたものです。EPAは「PFOS」「PFOA」をそれぞれ「4ng/L」へ引き下げ、規制値としました。同じデータを見ながら、なぜ日本のリスク評価は50ng/Lと甘くなったのか。そのカラクリが環境省の依拠する食安委の評価書を検証の結果、わかったのです。
それは、「PFOSとPFOAの合計50ng/L」を水質基準とする根拠が崩れたということを意味します。
このような疑義のもたれる食品安全委員会の評価から設定した50ng/Lを水質基準とするわけにはいかない、という声を上げることは日本の科学行政への問いかけともなり、重要なことです。
参考になるサイト・情報
① 「高木基金PFASプロジェクト」検証レポート
上述の「高木基金PFAS評価書」検証レポートはこちら

市民向けに説明した市民集会「市民フォーラム:PFAS水質基準の根拠が崩れた
―― 評価のやり直しを求めます!」が3月9日に開かれました。
Slow Newsが記事と動画を発信しています。
【イベント動画配信】PFAS論文差し替え疑惑とは。問題点がわかる動画を配信します
当日資料はこちらに上がっています。
②Slow News 諸永裕司さんのPFASウォッチ「PFAS論文差し替え疑惑」の連載記事
①の検証レポートについての諸永裕司さんによる調査報道スクープ「PFAS論文差し替え疑惑」記事はこちら👇️
PFASの健康への影響が、海外の論文ではどのような評価となっており、日本でどのように矮小化していたのかがわかります。
(1) 飲み水の基準の根拠を決める会合で評価のための論文が密かに外されていた!
(2) 発がん性を指摘する高評価の論文外しは非公開の会合で決められていた!「リスク評価が根底から崩れた」指摘も
(3)「腎臓がん」への影響、追加した低評価の論文1本で認定せず。「理想的な研究」とされた論文を差し置いて
[番外編]「過去にこんな論文の入れ替えはなかった」「リスク評価に偏りがある」専門家たちが問題を次々と指摘/PFAS論文差し替え疑惑・番外編
(4)「なくてもよかった」と委員も認める低評価の論文で「コレステロール上昇」を認定せず
(5)出生体重の低下、世界的に評価が定まり、否定する論文もないのに非公開の会合で採用せず
(6) ワクチンの効き目への影響を「過小評価」、評価書の記述に誤りも
(7)「どこで採水したかわらない」「ペットボトルの水を混ぜた」そんな調査で飲み水を評価。汚染地域の実態を無視
(8)論文“差し替え”「表現は遺憾」「不適切なことはしていない」としながらも、非公開会合での「検討過程」の公開には後ろ向き
+飲み水の水質基準の根拠はいつ決まったのか。ポイントはここだ!第6回と第7回の間の「空白の32日間」に結論が出されていた!
③「多摩地域のPFAS汚染から命と健康を守る連絡会」のパブコメ・学習会のサイト。
情報が豊富で、パブコメの手順についても詳しく書いてくださっているのでとても参考になると思います。

何を書いたらいいの?:文案のサンプル(随時更新)
【別紙1-1】4-6ページ, 11-13ページ(PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について)
・国際的な動向を見ても、日本の50ng/Lは高すぎる。
・PFOS,PFOAの2種類のみの規制は不十分。
【別紙1-1】4-6ページ
・重要な論文の扱いが不透明であり、結果に疑義を持たれる食品安全委員会の評価書をもとにした水質基準50ng/L は受け入れられない。
・食品安全委員会の評価過程についての説明をしてほしい。
その他の項目や関連パブコメ
ここでは飲み水の水質基準を中心に呼びかけしていますが、以下の意見も募集しています。
こちらの意見提出もよろしくお願いします。
・水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)
e-govの【別紙2】
・消費者庁の「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する告示(案)」(清涼飲料水 (PFOS及びPFOA)に係る改正)に関する御意見の募集について