環境省は2017年2月に琉球・奄美の世界自然遺産登録の推薦書をユネスコに提出しました。
その推薦書の問題について指摘したレポート「北部訓練場なき『やんばる』:奄美・琉球の世界自然遺産登録に関する問題」を9月12日にリリースし、環境省那覇自然環境事務所、沖縄県知事、東村長、大宜味村長、国頭村長に送付しました。 以下、レポートです。
河村 雅美(The Informed-Public Project 代表)博士(社会学)
国際自然保護連合(IUCN)生態系管理委員会委員
Dr. Masami Kawamura
2017年9月12日
要約
2017年2月1日、日本政府(環境省)は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(鹿児島、沖縄)」(以下、「奄美・琉球」)の、世界自然登録のための推薦書を国連教育科学文化機関(UNESCO、以下「ユネスコ」)に提出した。今後、国際自然保護連合(IUCN)の現地視察を経て、2018年夏頃、ユネスコによって登録の可否が決定される。
審査機関であるIUCNの基準は厳しい。しかし、日本政府はこの登録手続きにおいて、登録のための課題であるはずの米軍基地問題の解決を避けたまま、手続きを進めている。IUCNの基準である「完全性」と「保護管理」の問題をどのようにクリアするつもりなのか、所管官庁の環境省は情報を公開せず、説明責任を果たさずに北部訓練場などの存在や、問題解決に触れない、不自然で、結果的に非科学的な「推薦書」を作成し、提出した。
また、地元のステークホルダーにも十分な情報提供をしているか疑念が持たれる。推薦書では沖縄県、国頭村、大宜味村、東村は推薦地等の「包括的管理計画」の策定者として位置づけられており、「保護管理」に責任が課せられるはずであるが、県と3村がその責任を自覚しているかも不明である。
環境省やステークホルダーは、米軍基地問題を回避することなく、米軍を沖縄における基地と環境の問題に取り組ませるしかない。活動蓄積や経験のある環境団体の活動も参考にし、米軍をテーブルにつかせ、基地と環境という恒常的な問題を一歩進める好機ととらえることが世界自然遺産登録の本質である「人類共通のかけがえのない財産として、将来の世代に引き継いでいく」ことにつながると考える。
1.「奄美・琉球」の自然遺産登録のための「宿題」
2017年2月、環境省はユネスコへ推薦書「世界遺産一覧表記載推薦書 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を提出した(以下、「推薦書」、対象地については「奄美・琉球」と略す)。
2003年「世界自然遺産候補地に関する検討会」(環境省、林野庁)では、琉球諸島が、日本の世界自然遺産の候補地の一つとして、知床、小笠原諸島とともに選定された。その後、知床は2005年に、小笠原は2011年に登録され、琉球諸島のみが長らく未登録の土地となっていた。
それは、推薦地の一部である琉球諸島の世界自然遺産登録が、困難な問題を抱えてきたからである。
小笠原諸島の世界遺産条約のために小笠原主席自然保護官として勤務した環境省の技術系行政官中山隆治氏は、琉球諸島の登録が困難な事情を2012年に、以下のように述べている。
「琉球諸島に至っては、未だに登録のめどが立たない。この理由は、米軍基地の返還など自然保護行政の範疇に収まらない問題があり、宿題が大変なボリュームだからである」(太字は引用者による)。
中山隆治「世界遺産条約の国内実施の実態・小笠原諸島の事例」『新世代法政策学研究』(特集:「環境条約の国内実施に関する学際的研究」プロジェクト:世界遺産条約))vol.18(2012), p.86.
「宿題」とは、ここで述べられているとおり、米軍基地、具体的には 沖縄本島北部に存在する北部訓練場の存在から生じる課題である。このような「宿題」を抱えながら、所轄官庁である環境省は、2013年以降、琉球・奄美の世界自然遺産の登録のための手続きを進めてきた。
この大変なボリュームの「宿題」とは具体的に何なのか、「宿題」は誰がすべき「宿題」なのか、その「宿題」は終わっているのか。本レポートでは、「奄美・琉球」の「世界自然遺産」登録における米軍基地問題を整理し、提示することとする。
2.国際自然保護連合(IUCN)による厳しい審査
上述した環境省内部が認識していた「宿題」が何かを理解するには、世界自然遺産登録のプロセスの理解が必要である。
世界自然遺産登録までの手続き
世界自然遺産登録までの手続きを確認しておくと、以下のとおりである。
- 締約国政府が推薦を予定している地域のリストである「暫定一覧表(暫定遺産リスト)」へ記載(推薦書提出の1年前まで)
- 締約国政府がユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出
- 世界遺産委員会の諮問期間である国際自然保護連合(IUCN)による現地調査・書類審査・評価
- 世界遺産委員会(年1回開催)で世界遺産一覧表への記載の可否について決議
現在、②までが「奄美・琉球」の世界自然遺産登録では終わっており、③の状態にある。登録自体は、国連教育科学文科機関(ユネスコ)が行うが、その登録過程において、国際自然保護連合(IUCN)が審査・評価機関となり、対象地が登録にふさわしいかを審査する。以下がその審査過程である。
世界自然遺産登録過程
- 2003年5月
- 「世界自然遺産候補地に関する検討会」に於いて、琉球諸島が世界自然遺産候補地として選定
- 2013年1月
- ユネスコ世界遺産センターへの暫定リスト記載が決定
- 2017年2月
- ユネスコ世界遺産センターへ推薦書類を提出
- 2017年秋
- 国際自然保護連合(IUCN)による現地調査予定
- 2018年7月
- 世界遺産委員会の採決 予定
IUCNは、登録の基準に達しているかどうかを厳しく審査することになっており、基準は、ユネスコによるガイドライン『世界遺産実施のための運用基準(The Operational Guidelines for the Implementation of the World Heritage Convention)』で定められている【1】。
世界自然遺産登録は、「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value, OUV)」を有するかで判断され、以下の3つの条件を満たすかどうかが審査される。
ユネスコのガイドライン
- 4つの「評価基準(クライテリア)(「自然美」、「地形・地質」「生態系」「生物多様性」)」の1つ以上に適合すること。
- 「完全性(Integrity)の条件(顕著な普遍的価値を示すための要素が全て含まれているか/当該資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するための十分な面積を有しているか/開発または管理放棄による負の影響を受けているか)
- 顕著な普遍的価値を長期的に維持できるように、十分な「保護管理」が行われていること。
ユネスコの評価、IUCNの基準は厳しい。加えて、2000年に年間あたりの遺産登録数を実質的に制限するケアンズ決議が採択されて以降、世界遺産登録の厳格化が顕著になり始めた。IUCNの世界遺産推薦の評価者へのマニュアル【2】では、審査時に評価を「厳しくたれ」と評価者へ促している。マニュアルには、新たに推薦される自然遺産の約半数が基準に達しないことを認識するように審査者に促されている。
審査結果は、登録/記載(inscription)、情報照会(referral)、登録延期(deferral)、登録不可/非記載がある。登録不可が勧告されるとその件は同一の「顕著な普遍的価値」で推薦することはできない【3】。遺産登録時に勧告を提示し、問題解決を求めるケースもある。原則的に現地調査の結果が覆されることはなかったが、近年は、現地調査で登録延期勧告があったにも関わらず、世界遺産委員会で「逆転」登録を果たす例が増加し、政治化の傾向を強めていることの指摘もある【4】。
直近のIUCN側のメッセージとしては、拙速な登録への警鐘が挙げられる。2017年7月に行われた世界遺産大会では、新たに5カ所の世界自然遺産の登録が決まったが、自然遺産、文化遺産あわせて21候補地中6カ所が登録の推薦を得ることができなかった。IUCN世界自然遺産プログラムのディレクター、ティム・バッドマンは今回の会議の論点の一つに拙速な登録の功罪を挙げている。遺産登録を祝福する一方で、拙速な登録は、自然遺産条約自体にも、(条件をつけられて)保全のためのモニタリングやユネスコへの報告などを課せられる当該政府自体にも長期的には利益とならない、ということを述べ、世界遺産の最高の厳しい基準(gold standard)を保持するための行動を促している【5】。
3.課題とされる沖縄島北部の「完全性」と「保護管理」
上述のユネスコの基準に照らし合わせると、「奄美・琉球」の推薦対象地は、上述した審査基準の①の「評価基準」の部分は、「生態系」「生物多様性」の基準で達していると考えられている。「宿題」であるのは、②の「完全性」と③の「保護管理」の部分である。
世界自然遺産評価に関わった経験のあるIUCN日本委員会前会長吉田正人氏は、やんばる国立公園の国立公園指定時に、県内紙で以下のような見解を示している(2016年9月16日 沖縄タイムス社会面)。
“IUCNの評価は、①自然遺産の登録基準(自然美、地形地質、生態系、生物多様性)への合致②完全性の条件③法規制による保護地域の保全――の三つを満たすことが求められる。
2016年9月16日 沖縄タイムス社会面
問題は②で、十分な面積を有すること、必要な地域を全て含んでいること、周囲の開発などの人為的影響を受けていないことの3点がチェックされる。
法規制のかかった保護地域の担保は、国立公園指定によって固有種を保護するため、必要な地域を全てカバーできているかどうかが問題となる。過去に登録された日本国内の4カ所と比較すると、おそらく完全性や、保護地域の保全が十分であるかを説明するのが最も難しい候補地であることは間違いない。
IUCNとしては、北部訓練場があるからという理由で門前払いせず、訓練場があることによって世界遺産登録に必要な地域(固有種の生息地など)が除外されていないか、訓練自体が固有種の生息に影響を与えないのかなどに関し、日本政府への質問と併せて、現地調査で自ら確認する。
その際、訓練場内での固有種の生息状況や米軍の訓練による影響は、日本政府の管轄が及ばないので答えられないということであれば、登録は難しいだろう。登録されるとしても、米軍が世界遺産地域の保全にどのように協力するかなどの条件が付けられるだろう。“(太字は引用者による)
米軍基地の存在が及ぼす具体的な問題としては、主に以下のような問題があげられる。
1)登録対象地の範囲 (「完全性」の問題)
やんばる国立公園と北部訓練場は森としては一体であり、面的に区分できない地域であるにも関わらず、北部訓練場が保護管理の対象地となっていなければならず、必要十分な地域を満たしていない【6】。「完全性」の条件を満たさない可能性が高い。
2)米軍の排他的管理権・管轄権 (「保護管理」の問題)
- 米軍基地の運用による自然環境への影響を誰がどのように把握し、調整するのか等の保護管理措置の面が不明である。日米地位協定により、日本側の北部訓練場内のアクセスが実質、米軍の裁量によるものであるため、保護管理のための基地内へのアクセスが確保できているとはいえない。直近の例では、沖縄県議会米軍基地特別委員会が2017年7月に申し込んでいた北部訓練場内のヘリパッドの立入り視察を2017年9月4日現在、「運用中のため」という理由で許可されていない。立入り視察の目的は、貴重種の移植状態の確認なども含まれている。
また、環境省は経常的に行っていた基地内調査の立入りも2014年から米軍から許可されず、それを国民、県民に公表していなかったことが筆者の調査で明らかになっている【7】。
- 在日米軍が作成する、環境保護及び安全のためのガイドライン「日本環境管理基準(JEGS)」が基地内で運用されていることを「承知している」と日本政府は主張するが、実質は運用についての確認も公表もしない。JEGSの「第13章自然資源及び絶滅危惧種」における北部訓練場の「自然資源管理計画」の内容、運用の把握も不十分である【8】。
- 運用時の事故の対処に関しても不明である。米軍関係の事故発生時は、基地の外であっても、日本政府や地元自治体が排除され、適時に調査ができないという事態が推測される。2016年12月の名護市安部のオスプレイ墜落時が直近の例としてある。このような状態で保護措置が担保できているといえるのかが不明である。
3)高江のヘリパッド建設・運用(「保護管理」の問題)
「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」合意により、北部訓練場の一部の返還は高江のヘリパッド建設が条件となっており、2016年12月の返還に向けて高江ヘリパッド建設事業が強行に進められた。高江のヘリパッド建設については、環境破壊であるという世界の環境団体や科学者からも多くの懸念が示されてきた。また、この件に関しては2度、IUCNから勧告(2000年、2004年)がされている。それにもかかわらず、日本政府は正式な環境影響評価を行わずに、杜撰と評される沖縄防衛局の「環境影響評価図書」(「自主アセス」と呼ばれる)のみで住民の意思に反して工事を強行した。
4)辺野古・大浦湾の米軍基地建設の埋立て土砂による外来種侵入(「保護管理」の問題)
推薦地と直線距離で20km以下の辺野古・大浦湾での米軍新基地問題で、埋立て土砂による外来種の侵入と拡散問題がある。2016年のIUCN世界大会で埋立て土砂による外来種侵入の対策を求める勧告【9】がなされている。
4.環境省の不透明な政策過程
上述した問題の解決のためには、現実的には、北部訓練場に関する情報開示や現場へのアクセス、現実的な保護管理計画の実施などに関する米軍との調整・交渉が必要である。
しかし、米軍基地問題を回避し、それを実現する道筋を環境省は示してこなかった。この問題に関しては、環境団体がヒアリングや要請行動で環境省に疑問を投げかけてきたようだが、同省がどのように問題に取り組んでいるかの実態が公になってこなかったため、筆者は情報開示請求で、環境省の交渉過程を追及した。
1)環境省とIUCN間
環境省が、IUCNに北部訓練場や高江のヘリパッド等の問題についてどのように情報提供・意見交換をしているか不明であった。
世界自然遺産登録の手続きが本格化する前年、2012年11月にIUCN世界保護地域委員会(WCPA)のレスリー・F・モロイ氏が環境省の招聘で沖縄を訪問時、世界自然遺産登録のためのシンポジウムが開かれた。そのシンポジウムでは、北部訓練場の件に関しては一切、話題とならなかったため、シンポジウム後、筆者を含む市民がモロイ氏に北部訓練場の地図を示し、問題を話したところ、高江のヘリパッド建設については承知していたが、北部訓練場の件に関しては現地の情報が十分に提供されていない様子であった【10】。
上述のような背景と問題意識をもとに、筆者は、The Informed-Public Projectとして、2016年8月、ユネスコ、IUCNと環境省のやりとりを環境省に情報開示請求したが、「他国等との信頼関係が損なわれるおそれがある情報」という理由で、ユネスコ、IUCNに関しては、実質、不開示となった【11】。この結果については異議申し立てとしての審査請求を行っている。
また、モロイ博士が沖縄等の現地視察後、環境省に提出した世界自然遺産登録の2つの報告書を開示請求した。小笠原諸島の世界自然遺産登録の経緯をみると、モロイ氏が外来種のことで具体的な助言を与え、保護担当官が具体的な保護担保措置に対応していた事実があったためである【12】。
環境省への助言機関として専門家により構成される「奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会」のウェブで公開されている文書から見ると、モロイ氏の助言については、2013年8月に、「完全性及び推薦地域に関するIUCN専門家の指摘事項」というA4約1枚の資料が提示されているのみである【13】。ここには北部訓練場など米軍基地関係のことは触れられていない。
開示請求の結果、一般へのプレゼンテーション資料の開示のみで、不開示の2つの行政文書名は公表されながらも【14】、報告書の内容は「国の内部における検討に関する情報であり、非公開を前提としてモロイ氏より接受した資料」等の理由で開示されなかった。また、環境省への聞き取りによると、科学委員会のメンバーにもモロイ氏のレポートそのものの完全版は公開していないとのことであった。
政府と国際機関間の情報不開示の例は、ユネスコとオーストラリア政府間の政治的で不透明なやりとりが批判的に報道され【15】、問題化されている。この件については巻末資料を参照されたい。
2)環境省と米軍間
環境省と米軍とのやりとりについても開示請求をしたが、文書ファイルも特定されず、2016年9月、不開示となった【16】。
筆者はこの件に関しても審査請求を行ったが、審査請求時に出された米軍とのやりとりに関する環境省の「理由説明書」では、「不開示文書は、日本政府と米軍との間で行われた会議の議事録及び会議で使用した資料である。当該会議の議題及び議事内容は非公開とすることを前提として両国間で議事録を作成しており、双方の合意なく公開しない旨を議事録に明記しているが、当該議事録を公開することについて合意されていない」と、いきなり日米合同委員会の議題であることを示唆する理由を示してきた。日米合同委員会は、非公開が原則であり、世界自然遺産の件が、この後も記録が公開されないであろう秘密外交の場でのみ、話し合われていることを意味している。
このように、この問題を解決するための当事者とのやりとりについては、科学的な内容がベースであるはずの文書であるにも関わらず、環境省が情報開示を拒否した状態にあり、透明性に関しても、説明責任に関しても責任が果たされていないまま、登録過程を進めている状態であるといえる。
5.米軍基地問題を回避した環境省の「推薦書」
1)北部訓練場を対象としない管理計画
環境省は保護担保措置の手続きの中でも、米軍基地の問題を回避し続けてきた。2016年9月にやんばる国立公園が指定されたが、同公園の指定でも、米軍基地問題については触れられていなかった。
米軍基地問題に関しての課題に対する環境省の政策は、最後まで公にされることはなく、2017年2月1日に日本政府はユネスコに「推薦書」を提出した 。
ここで推薦書類の構成について説明しておく。推薦書類は、遺産としての価値を証明する「世界遺産一覧表記載推薦書:奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(2017.1 日本政府、以下「推薦書」)と、その遺産を将来にわたり保全するための方策等、保護管理の方法を示した「付属資料」の2つの書類で構成されている。
ではこの書類の中で、米軍基地についてはどのように触れられているのか。
「推薦書」では、「復帰」後も沖縄に課され続ける重い米軍基地負担を否定するかのように、「沖縄県内の米軍基地は、本土復帰後、2016年12月末現在までに、約34%減少している」という基地についての記述がされている。また、北部訓練場については、「特に、推薦地を含む沖縄島北部の国頭村には、約1,446ha(村面積の約7%)、東村には約2,267ha(村面積の約28%)の米軍基地があり、その大部分の約3,658haは北部訓練場として使用されている」という記述のみである。北部訓練場は、面積では沖縄県の米軍基地の約18%を占め、キャンプ・ハンセンに次ぎ、2番目に大きい基地であるが、その存在感を矮小化するような説明をしている【17】。
この推薦書の基盤は、環境省の案と、専門家により構成される「奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会(以下、「科学委員会」)」の案に関する議論である。そこでは、2016年2月27日の「平成27年度第2回奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会」でも委員会の中から基地の存在に関する懸念が示され、環境省が「どういう取り組みができるか検討する」などと応じたことが2016年2月28日の沖縄タイムス(「基地隣接保全策に『穴』国内法適用外 国『悩みの種』」で報じられている【18】。
同日の議事概要では、以下のような記述となっている。
”議事3 奄美・琉球世界自然遺産の推薦区域等について
議事3 奄美・琉球世界自然遺産の推薦区域等について<委員質問・助言・要請事項等>
(中略)
<委員質問・助言・要請事項等>(注:●は委員の発言、→は事務局の発言)
やんばる国立公園(仮称)では、東側は全て国立公園区域から外れているのか。北部訓練場は国立公園区域に含まれないか。また、世界遺産の緩衝地帯や周辺地域にも含まれないか。植生は連続しているが、資料2-6「現存植生図」で北部訓練場の部分が示されていないのは何故か。
→北部訓練場を国立公園区域に含むことは難しい。また、返還済みの場所についても、地域で今後の土地利用方針が未決定・未調整の場所がありこのような区域案となっている。国立公園区域は、地元の理解が得られ、かつ、国立公園の資質が認められる場所について調整した結果。また、世界遺産の緩衝地帯も法律等に基づく保護地域が求められ、北部訓練場を含むことは難しい。周辺地域については、どのような取組が可能か未知であり今後精査する。現存植生図について北部訓練場部分もデータはあるが、境界を明瞭にするために白抜き表示した。今後、参考資料で出すことは可能で、出典となった自然環境保全基礎調査植生調査の結果も公表されている。”(太字は引用者による)
この記述からみると、環境省は、法律等に基づく保護地域として北部訓練場を含むことは困難である見解を示している。保護管理計画は、「推薦地」と「緩衝地帯」と「周辺地域」が対象範囲となるが、「推薦地」と「緩衝地帯」は法律の範囲が及ばないので北部訓練場を含むことは無理であるという結論で「周辺地域」で可能性を精査するとしている。しかし、この環境省の見解がその後、議論された記述はその後の議事概要では確かめられなかった。
科学委員会の説明責任の追究のため、日本自然保護協会と、Okinawa Environmental Justice Projectの環境団体は、2017年1月に科学委員会宛に質問状を送付しているが【19】、回答はない。
では、「推薦書」でこの委員会の議論はどのように処理されたのか。「付属資料」では、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産推薦地包括的管理計画」の「2.計画の基本的事項」の「2)計画の対象範囲」で「周辺地域」が以下のように定義されている。
「○周辺地域:
・推薦地や緩衝地帯の周辺地域(必要に応じ、周辺の航路等も含む)
・法的または慣習的手法等による保全・管理、持続可能な利用、遺産地域の保全に係る普及啓発等をはじめとし、資産を維持又は強化するため若しくは資産の保全・管理場必要な取組を実施する地域。これらについては、広域的な取組が必要であることから、奄美大島、徳之島、沖縄県北部については、関係する市町村の行政区を、西表島については、島全体を基本として、周辺地域を設定する。」【20】
結局、環境省は、北部訓練場を周辺地域にも含めず、管理計画の対象としなかったのである。科学的に保護すべき地域を対象地として、管理計画を立て、米軍との交渉により制度を策定する、という政策をとることが科学的にも政策的にもあるべき形であると考えるが、実際の管理計画では、“手がだせない””手をつけると厄介なことになる“北部訓練場と係る部分は外して「周辺地域」を定義し、現実にある自然環境問題に対応した保護管理計画はたてられなかったということである。
環境省が認識していた「宿題」である米軍基地問題は、管轄権が及ばないことで解決の困難な“政治的なるもの”として回避され、北部訓練場は存在しないかのような推薦書、管理計画となったといえるであろう。
2)北部訓練場の一部返還跡地の「基地汚染」という要因
対象地の問題では、2016年に返還された北部訓練場の一部返還地の問題がある。この部分に関しては、言及が必要である米軍基地跡地問題も推薦書ではとりあげられていない。
北部訓練場の一部返還計画は、菅義偉官房長官から2016年10月に発表され、同年12月にその過半が返還された。上述のとおり「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」合意により、高江のヘリパッド建設を条件としての返還であった。
米軍基地の跡地は、深刻な汚染が返還後に発覚することが米国内外では常識となっている。本国では汚染の調査、浄化に10年以上の時間を費やされる。しかし、沖縄では防衛省の地方協力局(沖縄防衛局)が調査をすること、地元が早期利用を望むことから、汚染の精緻な調査は行われない力学が働いている。この北部訓練場も、汚染調査を含む支障除去計画が、この面積で1-1.5年と、非常に短い期間で設定されている。
また、北部訓練場の跡地の問題としては、返還された土地の国立公園化という利用計画も同時並行で行われている【21】。
これは、米軍跡地を自然保護区に転換し、米軍基地が存在した歴史を不可視化し、浄化コストを低く抑えるという、プエルトリコのビエケス、グアム、ハワイで行われてきた政策がまさに沖縄で行われようとしているといってよいであろう【22】。
返還地の国有地が84.9%の割合であること、調査後は、実質、沖縄防衛局から林野庁という国から国への引き渡しとなることも、調査の簡略化が予想できることである。調査や浄化の監視機関が制度的にない現在、これは杜撰な調査のまま引き渡される可能性が強い。この北部訓練場は、米国の退役軍人の枯れ葉剤散布の証言や、補償裁定もある。北部訓練場、及び返還跡地で予測される「基地汚染」という要素が、世界自然遺産の「完全性」の基準で、どのように評価されるのかについても、推薦書では考慮されていないことも指摘しておきたい。
3)推薦書の科学性への疑義
本来、やんばるの自然を保護するために、保護管理計画が包摂しなければならなかった北部訓練場の存在をなきものとしたことは、保護管理のための前提である事実が歪められ、推薦書は科学性が欠落したものとなったことを意味する。北部訓練場に係る部分を回避したことは、この件に関して警鐘を鳴らしていた科学者や日本生態学会を始めとする国内、世界の学会、自然保護団体、住民、市民からの声【23】も抹消したこととなる。
やんばるの自然に精通し、海外にも発信し続けた生物学者、故伊藤嘉昭氏がファースト・オーサーである査読論文、”Imminent extinction crisis among the endemic species of the forests of Yanbaru, Okinawa Japan”【24】は、推薦書のレファレンスにも入っ ていない。それはある意味、データの意図的な抽出、隠蔽であると受け取られても仕方がない。
また、この推薦書のレファレンスには米国側からの基地関係資料も列記されていない。2012年にオスプレイ配備のために米軍から提出されたEnvironmental Review for Basing MV-22 Aircraft at MCAS Futenma and Operating in Japan (「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー」)【25】にも言及せず、「日本環境管理基準(JEGS)」そのものや、JEGS13章「自然資源及び絶滅危惧種」に挙げられている「自然資源管理計画」【26】も参照されていない【27】。
IUCNとの関係でいえば、やんばるの適切な環境保全対策を求めた過去のIUCN勧告(2000, 2004)をふまえていない。また、高江ヘリパッド建設に推薦書で触れていないことは、IUCNのレッドリストのノグチゲラの部分で、絶滅の主要な脅威としてヘリパッド建設が挙げられていることを無視していることになる。辺野古・大浦湾の勧告、決議も含め、推薦書はIUCNを軽視したものと評価される可能性もあるだろう。
6.ステークホルダーの沖縄県、国頭村、大宜味村、東村の責任は:包括的管理計画の策定者
1) 沖縄県、国頭村、大宜味村、東村の「世界自然遺産」認識
これまで、環境省の政策について記述してきたが、それでは、世界自然遺産登録の地元のステークホルダーである沖縄県、国頭村、大宜味村、東村はこの米軍基地なき推薦書に対して何の責任もないのだろうか。
もともと、「国の責任で」実施される事業は、沖縄の自治体は政策内容に対して依存的な傾向があり、この件でも環境省に「お任せ」しているような姿勢が伺える。
しかしそれは、環境省がステークホルダーである沖縄県、3村の地元の関係者に適切に情報を伝えていないことによるものではないかとも考えられる。ステークホルダーの認識をうかがいしることができるものとして、「『やんばる国立公園』あす指定 国頭、大宜味、東村座談会(2016年9月14日 琉球新報)」の中にある、以下のようなやりとりがある。
[隣接する基地との関連]司会 他の国内の国立公園と異なる特徴として、米軍北部訓練場と隣接している。基地がある中で、よく指定されたなという意見もある。指定される地域が米軍北部訓練場のすぐ隣にあることや、自然保護の関わりについて、どう思うか。
東江 (基地がある状態は)好ましいことではないが、米軍北部訓練場を外してでも十分、国立公園になる価値がある。世界自然遺産登録の価値がある。SACO合意などに基づき過半が返還されて、この地域一体が国立公園や世界自然遺産に指定、登録されるということは大変喜ばしい、期待されるものだ。
新垣 やんばるは生物多様性が非常に高い。そういった観点からして、基地の部分を外したとしても十分世界自然遺産に登録する、申請するという価値がある。
司会 この価値をどういう視点で活用し、PRしていくことができるか。
小田 東村にはダムがあるが、ダムの対岸側が北部訓練場になっている。その部分が返還されるという意味では、今後はダムツーリズムも手掛けていく。そういった意味で、やんばる地域として非常に期待できる部分ではある。『やんばる国立公園』あす指定 国頭、大宜味、東村座談会(2016年9月14日 琉球新報)
司会=宮城久緒 (琉球新報社北部報道部長)
東江=東江賢次氏(国頭村世界自然遺産対策室室長)
新垣=新垣裕治氏(名桜大学国際学群・観光産業専攻教授)
小田=小田晃久氏(NPO法人東村観光推進協議会事務局長)“
(太字は引用者による)
この座談会の発言をみると、「北部訓練場を外しても世界自然遺産の価値がある」という主旨の発言が見受けられる。しかし、これは対象地がIUCNの審査基準の「評価基準」がクリアされていればよい、基地をいれなくても、そこだけで、自然遺産の価値があればよい、という誤った理解をしているように読める。保全に必要な地域が十分にカバーされているかどうか、という完全性の基準や、保護管理の法制度の整備の必要性について、地元の自治体が理解しているかどうかには懸念がある。環境省がステークホルダーに十分に説明をしていない、当該自治体が学んでいない可能性がある。
沖縄県に関しては、県の世界自然遺産事業の説明では米軍基地については一切触れていない【28】。また、筆者も同席した2017年7月20日の環境団体と沖縄県との意見交換時に沖縄県は上述のような認識が欠如していることを確認している。
2)「包括的管理計画」の策定者としての県と3村
ステークホルダーの認識が欠如している一方、推薦書の保護管理計画には、県も3村も責任があることは「推薦書」に明記されている。
環境省は2016年2月27日の第2回奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会において「推薦書作成と科学委員会は『環境省、林野庁、鹿児島県、沖縄県』の4者が事務局だが、管理計画はこの4者に加え市町村も策定主体となる」という見解を示している。
これは保護管理計画には、沖縄島北部の話でいえば環境省のみでなく、県、3村も責任があるということであろう。実際の「推薦書」でも、保護管理計画が記されている「付属資料」では、「包括的管理計画」は市町村も策定者として連名者となっている。つまり、推薦書で示した「評価基準」はクリアしても、「保護管理」に瑕疵がある場合は県、3村にも責任があることを示していると考えられる。もし、登録されなかった場合、環境省が責任を県等に負わせることも可能性としては否定できない。これまでの経緯をみると、県と3村がそれを自覚しているようには思えないが、それぞれが米軍基地に関する保護管理計画についての見解を示せるようにしておくことが重要であろう。
例えば、世界自然遺産問題で問題となる高江の米軍ヘリパッド建設に対してのそれぞれの姿勢と、管理計画についての見解である。北部訓練場の一部が返還される理由で沖縄県、東村は建設に容認の立場をとっており(国頭村は村内世論に配慮し、賛否を名言せず)、北部訓練場関係の世界自然遺産登録手続きでの保護管理計画に対して、積極的な関与をしていない。この件では沖縄防衛局の政策に追従し、対応は環境省に任せているという立場は沖縄側の自治体は共通のものである。
この問題は、沖縄県知事のIUCNへの矛盾した姿勢を露わにすることともなっている。2017年4月20日にIUCN事務局長に、日米政府に辺野古新基地建設断念を働きかけるよう要請書を送付しているが、高江のヘリパッド建設を見直すことを日本政府に検討させることを求めたIUCN勧告に対しては反する姿勢をとっている。沖縄県の世界自然遺産に関する政策は、環境省と同様、基地問題を回避してきたものであり、IUCNからは沖縄県のヘリパッド建設の姿勢を含め、北部訓練場に係る管理計画を問われる立場でもある。この書簡に関しては、IUCNが辺野古・大浦湾の米軍新基地建設に関する問題を世界自然遺産登録の問題と認識したことから、米軍基地問題と世界自然遺産登録の問題がリンクしたため、現実性を帯びることとなった【29】。
また、沖縄県は、恒常的に米軍基地被害について訴えてきた立場であることも、再認識する必要がある。知事公室基地対策課が『沖縄の米軍基地』を定期的に発刊し、県知事を会長とする沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)でも基地問題を毎年日米政府に要請している。2013年、沖縄市サッカー場で発覚した米軍基地汚染問題後、沖縄県環境部は3年をかけて、「沖縄県米軍基地環境調査ガイドライン」【30】や「米軍基地環境カルテ」【31】を完成させた。「米軍基地環境カルテ」では一応、北部訓練場内の自然環境や発生事故などにも触れられている【32】。
また、県は事故発生時に、情報にも現地にも適時のアクセスを拒否され続けてきており、立入りの権利の要求、日米地位協定の改正も要求してきている。さらに、2016年のハワイでのIUCN世界大会でも環境部長は基地汚染の被害を訴えていたという。そのように米軍基地の環境への被害を認識し、制度の改正を訴える姿勢をとっている一方で、世界自然遺産に関する米軍基地問題では、地元のステークホルダーであるにも関わらず、環境省と足並みを揃えて北部訓練場問題を政治的な問題として回避する姿勢をとっている。県の姿勢の一貫性のなさ、基地環境政策に関する矛盾した姿勢については世界自然遺産登録問題で露呈することとなったといえる。しかし、この中での県が果たす責任は、後々、県行政の足腰の強さにつながる作業であることも一方で期待されるものである。
7.むすび
大変なボリュームであると指摘されていた琉球諸島の「宿題」の問いに対する、日本政府やステークホルダーの応答についてまとめてきた。
結局、米軍基地を抱える地域が世界自然遺産登録の基準を満たすにはどうしたらよいのか、という宿題は、環境省、林野庁をはじめとする日本政府、また、沖縄県を始めとする地元のステークホルダーたちも、厄介な米軍基地問題は棚上げし、放置してきたといってよい。米軍基地の存在の事実を「推薦書」に記さず、それに伴い、対応する保護管理制度も担保できていないという状態で現地審査を待つ状態となっている。
しかし、前述のとおり、IUCN側は、沖縄県とのやりとりで辺野古の問題を世界自然遺産の問題として認識しており、対応を余儀なくされることになっている。
これに対してどう対応していくべきかといえば、やはり米軍基地問題を直視した行動をとることに尽きると考える。これまで世界自然遺産の米軍基地問題に関して経験を蓄積してきた環境団体の行動には参考になる例が多くある。例えば、米軍に対しては、2016年12月、Okinawa Environmental Justice Project が中心となり、米軍がこの問題へ関与することを求める手紙を提出し【33】、2017年2月、日本の英字紙The Japan Timesに掲載された【34】。
また、IUCNに対しては、日本自然保護協会等、複数の環境団体で、現地視察等への審査に関する要望書を提出し、IUCNから考慮する旨の回答を得ている。要望書には米軍基地の問題に関しても触れられている【35】。
この要望書は、「やんばるの森」(沖縄本島北部)の世界遺産登録を求め、同地域における米軍ヘリパッド建設に対して適切な環境保全対策を求めた、前述した過去のIUCN勧告(2000, 2004)を踏まえている。先に言及したIUCNのティム・バッドマンが挙げた課題でも「市民社会に門戸を」が挙げられ、市民社会の重要性を指摘している。環境団体はIUCNの現地審査で、IUCNとステークホルダーとの意見交換の場を設定することも要求しており、日本政府はそれを考慮することが求められている。それはIUCNの方向性に叶うことでもあろう。
「宿題」は、米軍を当事者としてテーブルにつかせ、日米政府から情報を出させ、保護管理について交渉していくことにより解決していくしかない。基地と環境という、沖縄が抱えさせられてきた恒常的な問題を一歩進める機会ととらえ、その方向へ舵をきることが世界自然遺産登録の本質である、”人類共通のかけがえのない財産として、将来の世代に引き継いでいく”ことにつながると考える。
【巻末資料】
2016年5月、オーストラリア政府が観光業への懸念などから、ユネスコの世界遺産登録地と気候変動についての報告書の内容に介入し、草稿にあったグレートバリアリーフのサンゴに関する部分が削除されたことが英メディア「ガーディアン」の報道で明らかになった。削除は、オーストラリアのユネスコへの依頼によるものであることも明らかになっている。
この事例は、世界自然遺産に登録されているグレートバリアリーフが危機的な状況にあり、オーストラリア政府が観光への打撃を懸念している ことが背景にある。ユネスコの世界遺産委員会は2015年に、グレートバリアリーフを「危機遺産」に指定しようとしたが、オーストラリア政府がロビーイングにより、指定を回避した。
同年8月、オーストラリア政府に対してなされた情報開示請求により、ユネスコとオーストラリア間の電子メールが開示されたが、内容はほぼ不開示であったことが報道された。オーストラリアは情報開示請求を受けた時に、ユネスコに開示の可否を相談したが、ユネスコが開示を拒んだということである。これはオーストラリア政府とユネスコが結託して政治的なやりとりを隠蔽したことを示すものとして、批判的に報道された。
このように、政府と国際機関のやりとりに実質的に不信感が生ずる事例が、国際社会において発生している。しかし、このケースでは、オーストラリアは文書の開示について、マスキングで文書の内容は隠されているが、電子メール自体は明らかにされており、文書も特定しない日本の環境省よりは開示の幅は広い(文書は、ロンドンをベースとした気候変動を巡る国際政治を焦点としたニュースソースを提供するClimate Homeのウェブサイト【36】で公開されている)。