【2026年1月更新】沖縄県PFAS汚染マップと現状

現在、全国的にPFAS汚染が検出されている報道が次々とでてきています。

沖縄県では、2016年に水道水を所管する県企業局から北谷浄水場の水源で、嘉手納飛行場由来と考えられるPFASが検出されてきたことが発表されたところから、PFAS汚染問題に行政も市民も取り組むこととなりました。

沖縄県内でもこれまで多くの報道や報告がされてきましたが、情報が集約される機会がないので、IPPで2019年から全県的なマップにまとめています。また、マップの下に簡単な解説をつけています。
(2023年度の沖縄県の全市町村の水質調査と土壌調査の結果は含まれていません)

このマップでわかるのは、沖縄は小さな狭い島嶼に米軍基地がひしめいており、汚染を受け止めるキャパシティーが本当にない、ということだと思います。特に中部は米軍基地や廃棄物処分場があり、汚染も集中しています。また、基地と生活圏が隣接しているため、市民への汚染の影響も直接で大きいといえます。
施設からのPFASの流出・浸出だけでなく、回収後の保管・廃棄の過程でも汚染が生まれていることもわかります。こうした汚染のサイクルを、沖縄が引き受けさせられているということもマップから浮かび上がります。飛行場だけでなく、あらゆる軍事基地でPFASを使用していることは国防総省自体が明らかにしていますが、そのことも反映されているのではないかと思います。

また、沖縄は一級河川がなく、島嶼県であるために水の資源も限られています。ダムの貯水率が平均を下回り、PFASで汚染されているために取水を止めていた北谷浄水場の水源からも、取水を再開せざるを得ないことが2024年に起こりました。

PFAS汚染は世界共通の課題です。だからこそ、沖縄では水源の選択肢が限られる島嶼で安全な水を確保する難しさの上に、不透明さを伴いやすい軍事基地という条件が重なり、安全な水の安定供給が揺らいでいるその特徴を正確に理解し、発信していく必要があると思います。

以下の地図や情報、お気づきの点あればご指摘いただければと思います。
(データ、内容は随時更新します) 

※なお、説明の順番は河川の流域や汚染位置との関係、調査経緯などを踏まえての順番になっており、カテゴリーも随時組み直しているので、下記地図と一致はしていません。

川崎川支流(天願川支流)上流部 / 地下水・湿地帯・地下水(Kawasaki river, Tengan River)

  • 中部のこの地域は米軍基地(嘉手納基地、嘉手納弾薬庫、陸軍貯油施設)や廃棄物関係施設が多く、河川等の環境に影響があることが推測される。また、不法投棄の事例も観察されている。
  • 天願川については沖縄県が流域の調査(支流である川崎川及びその上流)を行ったところ、沖縄市の産業廃棄物処分場から高濃度PFASが検出されたことから、県環境整備課が2020年度、処分場周辺の河川の調査を実施。川崎川を含む上流4地点でPFASが検出。処分場から離れていたため、更に2021年度に周辺湿地帯を調査した結果、湿地帯及び周辺河川より高濃度のPFASが検出された。
  • 汚染源は不明とされている。

川崎川支流(天願川支流)上流部 / 一般廃棄物処分場跡地(Industrial Waste Disposal Site)

廃棄物処分場由来のPFAS/米軍廃棄物や泡消火剤も

  • 産業廃棄物のほか、米軍基地から排出される一般ごみなどを長年受け入れてきた沖縄市北部の産業廃棄物処分場では、施設内に違法に積み上げられた「ごみ山」が問題になっていた。処分場から地下水に浸出している有害物質(総水銀、カドミウム等)が問題となっており、同処分場では不法投棄を理由に2017年県に産業廃棄物処理業の許可を取り消されていた。
  • ダイオキシンなどの有害物質とともに、高濃度のPFOA、PFOS汚染が周辺地下水から発生していたことが2018年度の沖縄県の調査で判明し、沖縄県は専門家会議を設置して対策を検討した。「ごみ山」の処理自体は2021年から15年をかけて別の処分場で処分することで沖縄県が了承している。現在、沖縄県はモニタリングを実施しており、敷地内のモニタリング井戸では高濃度のPFOA、PFOSが検出されている。
  • FOIAによる調査報道では、2014年から15年にかけて、普天間飛行場の泡消火剤が同処分場で処分されてたことが明らかになっている。

嘉手納飛行場周辺 Kadena Air Base area
— 飲料水の水源を汚染

  • 2016年1月、沖縄県企業局が、北谷浄水場の取水源である嘉手納飛行場周囲の河川、井戸におけるPFOS・PFOA汚染を発表。飲料水にPFASが入っていたことが明らかになった沖縄の最初の例。
    北谷浄水場は、7市町村、45万人に給水し、市町村を通じて米軍基地にも給水されている。
  • 泡消火剤に含まれるPFASが訓練や事故による漏出等で土壌や地下水に蓄積し、河川や湧水等に浸出していると考えられる。
  • PFASは嘉手納飛行場内から水源であった比謝川に流入する大工廻川において、高い値で検出されている。大工廻川と比謝川合流部より上流にある白川橋のデータは低いこと、嘉手納井戸群の基地内の井戸でも値が高いことから、嘉手納飛行場由来の汚染であることが推測される。
  • 米国情報公開法(FOIA)を用いた調査報道により確認された、嘉手納基地内に1970年代から80年代にかけて使用されていた消火訓練場が汚染源の一つと考えられる。
  • FOIAによりメディアが入手した基地内の漏出を想定した水の流れを記した文書でも、汚染物質が大工廻川方面に地下水を通じて流れだすことが示されている。
  • FOIAを用いた調査報道等により、嘉手納基地内の漏出事故が多数発生し、日本側に報告されていないことなどが判明している。
  • 周囲の湧水では高濃度のPFASが検出され、最高値(PFOS+PFOA)は民家の井戸の3000ng/Lで、沖縄県内の基地外の値では最高値である。
    環境省の「在日米軍施設・区域環境調査」でも2019年からPFOSとPFOAの調査をし、大工廻川、嘉手納町周囲の字屋良のシリーガーで高濃度のPFOS、PFOAが検出されている(2021年からはPFHxSも追加)。
  • ニライ消防本部横の基地排水からも2014,2015年度に高い値で検出されている。
  • 嘉手納飛行場と沖縄県企業局は水源である比謝川への漏出事故の訓練を年に1度実施している。ただし、想定している漏出物質はPFASではない。
  • 2016年当初は沖縄県企業局、嘉手納基地、沖縄防衛局は「情報・意見交換」の場が設定されていたが、嘉手納基地側からの実質的な情報提供はなく、最後は日米合同委員会の議題にするように日本政府に要請せよという姿勢で終わっている。日本政府は、在日米軍と汚染の関係は「お答えするのは困難」という回答を続けている。
  • 沖縄県は日米政府に立ち入りを要請していたが、2025年12月、防衛省を通じて米軍から拒否されたことが通知された。
  • 沖縄タイムスの調査報道をもとにしたIPPの調査により、沖縄防衛局の現況調査をもとに、国防総省から米国連邦議員への報告で、嘉手納基地が汚染源であることが否定されている可能性が明らかになっている
  • 基地内の汚染源自体の調査や浄化という抜本的対策ができないため、企業局は2016年北谷浄水場に活性炭フィルターを設置し、対症療法的な対策の措置をとることしかできない状態である。これには防衛省から補助を受けていたが、防衛省は2025年、今後は「補助対象となるのは困難」としている。
  • 2024年、渇水により、取水停止していた中部河川からの取水を再開せざるをえない事態があった(現在は取水停止)。 
  • 2019年の京都大学による血液調査で、北谷浄水場からの給水が100%の宜野湾市民の血液中のPFOS、PFOA、PFHxSの値は全国平均より高く、この結果は県民のPFAS汚染への意識を喚起した。
  • 2022年の市民団体による血液調査では、北谷浄水場から給水される市町村の市民の血中濃度が高かったことが明らかになっている(ただし、給水されていない嘉手納町の市民の血中濃度も高いことについては理由についての言及がない)。
  • 最大5000ng/Lの高濃度のPFASが検出された基地西側消火施設付近の「ため池」は、閉鎖作業が2023年12月に確認されている。

長田川 (Nagata River)

  • 長田川は、米軍嘉手納弾薬庫地区を起点とし、返還跡地(部分的な返還)を経て比謝川と河口近くで合流する河川であり、合流手前に長田川取水ポンプ場が位置している。
  • 2014年に実施された沖縄県衛生環境研究所の全県調査では、中部河川である比謝川、長田川、天願川の3河川が高く、それぞれの異なる汚染源があることが推測されている。
  • 汚染源は不明

キャンプ桑江(レスター)

※ 後日詳細及び地図を追加します。

キャンプ・ハンセン(Camp Hansen area)

  • 2019年に金武町がキャンプ・ハンセン周囲の河川を測定し、300ng/Lが検出。 ・ 2020年8月-2021年1月に実施された調査で排水路から165ng/Lが検出。2020年6月に実施された地下水源の調査では最高410ng/L が検出された。
  • 2020年6月、地下水源を用いた水道水からも70ng/L、50ng/Lが検出されていた(水道水は金武町2300人超に給水)。その後、高い地下水源からの取水は停止しながら(6水源中、最高で5ヵ所停止)、浄化した地下水と県企業局の水を混合して給水。
  • 地下水源と水道水からのPFAS検出を議会の追及があるまで、2021年10月まで公表しなかった町の対応が問題化された。また、沖縄県も把握していたことが判明した。
  • 2021年12月24日沖縄県保健医療部衛生薬務課(当時)はキャンプ・ハンセンへの立入申請を行っていたが、2025年12月、防衛省を通じて米軍から拒否されたことが通知された。
  • キャンプ・ハンセン近くの琉球病院では2017年頃から地下水と町の水道水を混合した専用水道水を使用していたが、2021年9月の独自の調査で地下水が117ng/L、水道水から78ng/LのPFASが検出され、地下水の取水を同年10月から停止した。
  • 町は2022年5月から金武浄水場に粒状活性炭を敷設し、PFASを低減した地下水と県企業局からの水を混合して水道水を供給。
  • 県企業局の水の受け入れ量を増やすため、貯水タンクを新設し、送水管を敷設。2023年2月から送水が開始された。
  • 1ヶ月1回、町独自で水質調査を継続。河川は年に1回、数値が高い地点は回数を増やして調査。
  • 2021年10月に海兵隊は予備調査の結果、数値上昇につながる原因は基地内で特定できなかった」という報道発表を出して、事実上、関連を否定している。
  • FOIAによる調査報道で、キャンプ・ハンセン内でPFASを含む泡消火剤が保管されていたことが分かっている。

陸軍貯油施設 金武湾第3タンクファーム(Army POL Depots(Chimuwan Tank Farm) area)

貯水槽からの汚水流出汚染

  • 陸軍貯油施設はうるま市、沖縄市、嘉手納町、北谷町、宜野湾市にまたがる米軍施設である。
  • 2021年6月に米軍泡消火剤含有水が地上の防火用貯水からあふれ、付近の排水路から基地外に流出。PFOSとPFOAを含む2400リットルの汚水が流出。米軍からの通報は1日遅れであった。
  • 沖縄県は現場周辺の河川等の調査を実施。 ・琉球新報が基地外の土壌と排水路のサンプリングを行い、京都大学に分析を依頼。高濃度のPFOS、PFOA、それ以外の種類のPFASも検出された。この結果から施設周辺で過去からの汚染があることが推察される。
  • 環境補足協定の立入りの合意により2020年の普天間に続き2例目立入りが実現。貯水槽のサンプリングを米軍、日本政府、沖縄県で実施。米軍が難色を示したために、結果は迅速に公表されなかった。同年12月に3者の結果が発表され、PFOS+PFOA,合計値、最大87,000ng/Lの値が報告された。
  • 米国国防総省によると、同タンクファーム、北谷町の「桑江タンクファーム」うるま市のホワイトビーチにある陸軍タンクファームから、貯水槽等のPFAS関連設備を撤去予定で、2024年の米国会計年度中の処分完了を見込んでいる。

キャンプ・フォスター(Camp Foster area)

  • 2016年からの沖縄県環境保全課の基地周辺調査で検出。
  • 汚染原因は不明。

キャンプフォスター返還地(西普天間住宅地区跡地)(Former West Futenma Housing Area on Camp Foster (Returned))

返還跡地からの汚染検出

  • キャンプ・フォスターの一部として2015年に返還され、「支障除去」期間を経て2018年に引き渡しとなった西普天間住宅跡地の湧き水からPFASが検出されたことが、2024年、沖縄県が普天間飛行場のPFAS汚染のために設置した専門家会議により明らかになった(普天間飛行場の欄参照)。
  • PFASは、跡地利用特措法の調査項目にないため、跡地としての調査はされていなかった。
  • もともと沖縄県の基地周辺調査により高濃度のPFASが検出されていたチュンナーガーも、西普天間返還跡地に位置する湧き水であるが、その他の湧き水からも検出されていた(チュンナーガーは普天間基地の影響での汚染のため、普天間飛行場の欄に数値を記入している)
  • 湧水のある区域は都市公園が計画されている部分であるため、宜野湾市や沖縄県により対処が必要とされる。

普天間飛行場(MCAS Futenma area)

生活・生産圏の湧き水を汚染

  • 嘉手納飛行場の周囲の水源汚染の発表後、2016年度から沖縄県環境部が基地周囲の調査を実施し、普天間飛行場近隣の湧水から高濃度のPFASが検出された。その後、定期的なの調査を続けている。
  • 水道水には用いられていないが、喜友名泉は簡易水道に使用。また、下流湿地の湧水は農業用水に用いられている。湧水から引いた水は公園や小学校のビオトープ等でも使用されていた。
  • 普天間飛行場周辺には、水を通しやすい琉球石灰岩大地が広がり、地下にたくわえられた水が、湧水となり、下流の湿地に湧き出て海にも流れている。普天間飛行場内で土壌および地下水汚染が生じていると考えられる。
  • FOIAを用いた調査報道により、基地内のトレーニングピットから高濃度のPFASが検出されていることが米軍の調査で判明している。訓練や事故による漏出等も明らかになっている。
  • 2017年、沖縄県は沖縄防衛局を介して海兵隊(G7)に協議の場を要請したが、PFOSを含む泡消火剤は規制された物質ではないので、追加質問に答えたり会合を持つことは無駄である、との回答を持って終わっている。
  • 県は日米政府に立ち入りを要請していたが、2025年12月、防衛省を通じて米軍から拒否されたことが通知された。
  • 2020年4月、格納庫前で米兵が行ったバーベキューの煙に消火システムが反応し、装置が止められず、泡消火剤22万7100リットルが漏出、14万3830リットルが民間地域に流れた。環境補足協定に関する「立入りの合意」(2015年に合意)による立入りが初めて認められた。
  • 2021年9月、米軍が普天間基地からPFASの「処理水」6万4000 リットルを、沖縄県や宜野湾市等の合意なしに公共下水道に放出した。放出する「処理水」のPFOS・PFOA量は、1Lあたり2.7ngと説明していたが、宜野湾市が下水道を調査すると、PFOSが630ng/L、PFOAが36ng/L、PFHxSは69ng/Lが検出された。
  • 沖縄県は2021年に有識者会議を設置し、2022年度から「『基地周辺環境対策推進事業』有機フッ素化合物汚染源調査」を実施。基地外で観測井戸も設置し、湧水のモニタリングや、地下水流動を分析する等の調査を実施した。2025年3月に事業総括報告書を発表し、PFASの汚染源となり得る場所は、普天間飛行場内に存在すると考えられる結論を出している。
  • FOIAを用いた調査報道により入手した米軍の情報をもとにして、2022年に市民の実施した調査では普天間第二小学校内・周辺の土壌からPFOS、PFOAが検出された。
  • 2023年に沖縄県の実施した土壌調査でも、普天間第二小学校の表土や普天間飛行場周辺からPFOS, PFOAが検出され、基地のない土地よりも高い値が検出されている。

キャンプキンザー

※ 後日詳細及び地図を追加します。

自衛隊那覇基地(Naha Air Base, JASDF)

漏出事故により発覚した汚染

  • 2021年2月 航空自衛隊那覇基地内から周辺に泡消火剤が飛散。当初、空自はPFOSは含まれていないと説明していたが、琉球新報の採取した泡の調査でPFOSを始めとした複数種類の有機フッ素化合物が検出された。
  • その後、自衛隊、沖縄県、那覇市が調査を実施。那覇基地内の水路から高濃度のPFOS等が検出される。泡が飛散した保育園の土壌でも全国最高値よりも高い値が検出された。
  • 飛散した泡消火剤にPFOSが検出されていた要因の検討のために、2021年3月から真水であるはずの泡消火専用水槽、消火配管末端部の水質調査をしたところ、高濃度のPFOS、PFOA、PFHxSが検出された。また、当該事故と関係のない水槽からも高濃度の有機フッ素化合物が検出され、原因は不明と発表されている。
  • 沖縄のこの事例は全国の自衛隊62施設で泡消火設備専用水槽の水質調査を実施することにつながった。2022年7月に発表された全国自衛隊施設水槽水の調査では229水槽中、環境省の暫定目標値を超過した水槽水は125水槽であり、沖縄では海自那覇航空基地の水槽から3,700,000ng/Lの全国最高値が検出された。他にも航空自衛隊那覇基地では17水槽中全て、知念分屯基地でも目標値を超える値が検出された。
  • 2025年7月の調査で、基地内水路で国による指針値を下回ったため、11月に事故後に定期的に実施していた基地内の水質調査を終了することが那覇基地から発表された。

中城村・西原町(Nakagusuku-son,Nishihara-chou)

  • 西原浄水場の敷地内の湧き水で検出されたことから、沖縄県による中城村の農地の井戸で2021年、2022年に地下水調査が実施される。
  • 汚染源については不明。
  • 沖縄県は農業用水としての利用を控えるよう指導している。

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