「沖縄県疫学統計・解析委員会資料:解説および資料」(令和3年7月12~25日)を、徳田安春( 群星沖縄臨床研修センター)、渋谷健司(相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター)、河村雅美(The Informed-Public Project)で検証し、意見書として発表しました。
疫学・統計学的分析は、新型コロナウイルス感染の動向を把握し適切な対応を取るためにも、また、その効果のモニタリングと評価を行うためにも、最も重要な基本的情報です。ゆえに、使用データや分析においては、科学的検証に耐えるだけの妥当性や透明性が担保されることも重要です。
しかし、沖縄県疫学統計・解析委員会の資料は、疫学・統計学的推論が不適切な解釈をしている例がみられたため、専門家が問題を具体的に検証しました。
検証の結果として以下のことがわかりました。
1)県の疫学・統計学的分析は、疫学・統計学的推論が全くなされずに、記述統計のみでの分析・解釈が行われている。
2)基本的な疫学・統計学的推論が行われていないために、妥当な推論を経ていない仮説が具体的対応策として提案され、その結果、施策の効果のモニタリングや評価が継続的に行うことができずに、場当たり的な対応になってしまう危険性がある。
3)使用データは、ウイルス検査拡充が不十分であり、また、症例の定義も明確でないために、報告感染者数はバイアスの多いデータであることを理解する必要がある。
4)委員会自体の位置づけや所掌範囲が不明確であることなど、組織的な問題が存在する。委員の専門性を担保する情報がなく、文責も匿名であること、また解析の範囲を超えた施策の提案の提示をしていることも、ガバナンスや手続き上、大きな問題である。
沖縄県にはこの資料の科学的妥当性についての見解を示すこと、疫学統計・解析の方法や資料の作成者の専門性を開示すること、解析結果の適切な公表及び科学的妥当性と透明性を担保するための体制を整えることを要請します。
意見書は以下で読むことができます。
意見書「沖縄県疫学統計・解析委員会資料:解説および資料」(令和3年7月12~25日)の検証
意見書の中では、以下のように不適切な解釈5例を挙げて具体的に解説しています。